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ドイツ銀行に家宅捜索 資金洗浄の疑い、現地報道
2018年11月29日 18:57 (2018年11月29日 21:35 更新)

【ベルリン=石川潤】ドイツの検察当局は29日、フランクフルトに本拠を置く金融大手、ドイツ銀行に資金洗浄に関与した疑いで家宅捜索に入った。2016年に明らかになったパナマ文書問題に絡み、租税回避地(タックスヘイブン)を利用した資金洗浄を手助けした疑いが持たれている。経営再建中のドイツ銀行に新たな懸念材料が浮上し、同行の株価は一時、約3%値下がりした。

検察当局によると、ドイツ銀行は租税回避地での「オフショア会社」の設立を手助けし、犯罪行為に関連した資金をドイツ銀行の口座に移したうえ、当局への報告を怠った疑いがある。英領バージン諸島に設けられたドイツ銀行の拠点が、2016年だけで900人以上、3億1100万ユーロ(約400億円)の取引に関わっていたという。

ドイツ銀行は29日、「捜査はパナマ文書に関するもので、捜査に全面的に協力している」とする声明を発表した。法律事務所から流出したパナマ文書は大量の顧客データを含み、16年4月の公表後、世界の政治家や有名人らの税逃れの実態が明らかになった。

ドイツ銀行はデンマークの名門銀行、ダンスケ銀行の資金洗浄疑惑に関与したとの疑惑も一部メディアで報じられているが、今回の捜査は無関係とみられる。

ドイツ銀行は17年まで3年連続の最終赤字となり、経営再建の真っ最中だ。18年4月にクライアン最高経営責任者(CEO)を更迭し、後任のゼービング氏のもとで立て直しを進めてきた。内部統制の脆弱さを示す今回の事件は、同行の先行きの不透明感をさらに強める可能性がある。