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ビジネス
2018年12月6日 / 10:29 / 11時間前更新
高齢化で中立金利が低下、金融緩和効果の発揮が難しく=日銀総裁

[東京 6日 ロイター] - 日銀の黒田東彦総裁は6日の参議院財政金融委員会で、高齢化の進展が潜在成長率低下とともに中立金利低下を招くとし、中立金利低下により、金融緩和効果を発揮することが難しくなると述べた。中山恭子委員(希党)の質問に答えた。

黒田総裁は「高齢化の進展が潜在成長率とともに、景気や物価に対して中立的な金利水準を低下させる可能性が問題になり得る」と指摘。金融緩和効果は、中立金利よりも低い金利を実現することで景気刺激、物価上昇をもたらす効果があると説明し「中立金利が低下すると、金融緩和効果を発揮することが難しくなってくる」と述べた。

そのうえで「来年のG20で高齢化社会におけるさまざまなチャレンジについて議論することは、大変時宜を得たもの」と述べた。

高齢化の進展とともに人口減少や成長率低下が起きると「金融機関の貸出需要や金融機関の収益に下押し圧力として作用する」と指摘。地方では、人口や企業数の減少が大きく「高齢化、人口減少のなかで、新たな金融サービスで向かっていかないと、長期的に、地域銀行は難しい状況になる」とした。個人・企業に向けて多様なサービスを提供することによって「地域金融機関の経営をきちっとした形で持続できることは可能だとは思う」としながらも「相当大きなチャレンジであると思う」と述べた。

黒田総裁は「地域金融機関の基礎的収益力は趨勢的に低下してきている。大きな課題だ」と指摘。地域から都市部への預金流出は「現在は起きていないものの、そうなると、ますます地域金融機関の経営は大変」とし「適切な金融サービス提供にはさまざまな改革や投資、支える政府の政策が必要。日銀もさまざまなチャネルを通じて、そうした動きをサポートしていきたい」と述べた。

清水律子