【パリ=白石透冴】フランス全土で続く反政権デモを受け、マクロン大統領は10日、2019年1月から最低賃金を約8%引き上げるなどデモ参加者に大幅に譲歩する施策を発表した。一部の社会保障増税も中止する。デモの収束を最優先したが、財政再建の遅れは避けられない。予定していた他の改革にも影響が出る可能性があり、マクロン政権の根幹が揺るぎかねない事態だ。

マクロン氏は10日午後8時(日本時間11日午前4時)から13分間テレビ演説した。蛍光の黄色いベストを着て参加する反政権運動「黄色いベスト」が生活水準の悪化を訴えていることを意識し、「私は『経済と社会の非常事態』宣言を出したい」と切り出した。

デモの要求に応じ、現在月約1184ユーロ(約15万2千円)の最低賃金を19年1月から100ユーロ引き上げるとした。「企業の追加負担は発生しない」と語った。どのような制度になるかは明らかでないが、国費負担となる可能性がある。

また18年1月に実施した社会保障増税は当初から評判が悪かったが、月収2千ユーロ以下の退職者に対しては増税を取りやめる。18年末のボーナスに課税しないことや、19年から残業勤務に原則課税しないことも決めた。一連の譲歩案を11日に議会に提案する考えだ。

マクロン氏は18年、株式を含む保有資産に課税する「富裕税」を投資家を遠ざけるなどとして廃止していた。デモ参加者は金持ち優遇につながると批判していたが、これについては廃止を譲らなかった。「(改革の)後退は我々を弱体化させる」と主張した。

マクロン政権は5日、燃料税引き上げを2019年は実施しないと明らかにしている。国内総生産(GDP)の0.2%にも相当する税収減になる恐れがあり、19年度に財政赤字をGDP比2.8%内に抑えるとの目標達成が危ぶまれている。

今回の2回目の譲歩に必要な予算額は現段階では不明だが、財政立て直しが難しくなることは間違いない。マクロン改革の最優先課題の1つが財政再建だったが、デモに押し切られ譲歩を余儀なくされた。

マクロン氏は公務員12万人の削減、複雑な年金の一本化なども改革メニューに盛り込んでいる。だが現状では再び国民が怒りを爆発させかねない。なし崩し的に改革が遅れる恐れも出ている。

黄色いベストは11月に入って盛り上がった。当初は燃料費の高騰や燃料税引き上げに反対する運動だったが、次第に社会保障税引き上げ、高止まりする失業率などマクロン政権全体に反対する運動に発展している。

大規模デモは11月17日から12月8日まで4週末連続で実施された。仏テレビBFMによると、これまでに仏全土で4500人以上が拘束された。経済に影響が出ており、フランス銀行は10日、19年10〜12月の実質成長率予測を0.4%から0.2%に下方修正した。

テレビ演説するマクロン仏大統領(10日)=AP
https://www.nikkei.com/content/pic/20181211/96958A9F889DE1EAE5E5E0E1EAE2E3E3E3E0E0E2E3EAE2E2E2E2E2E2-DSXMZO3877236011122018000001-PN1-2.jpg

2018/12/11 5:33
日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO38772380R11C18A2000000/

★1が立った時間 2018/12/11(火) 08:35:21.23
前スレ
https://asahi.5ch.net/test/read.cgi/newsplus/1544494288/