大阪・ミナミを拠点にしていた半グレ集団「アビス」(解散)のトップら計49人が逮捕された事件で、組織が経営していたガールズバーのぼったくりの詳細な手口が、大阪府警への取材で明らかになった。「飲み放題」とうたいながら、従業員の少女らのドリンク代として、数万円から数十万円を請求。支払いを拒む客には、「回収役」の男らが監禁や暴行で脅した。これまでの被害は、総額約2200万円に上る。

「飲み放題で1時間3000円です」

多くの若者や観光客らが行き交うミナミの戎橋。アビスの少女らは周辺で酔客に優しく声をかけ、ガールズバーに連れ込む。店では少女らが「1杯もらっていいですか」とねだり、気が大きくなった客らは少女らの飲み物が1杯5000円もするとは知らない。飲んだ量も水増しされる。

今年6月。酔いつぶれた20代の男性が店内で目を覚ますと、テーブルには、飲んだ記憶のないシャンパンの空き瓶が数本並んでいた。吐いて床を汚したという「クリーニング代」も含め、請求額は65万円。男性が拒むと複数の男から殴られ、スマートフォンや約6万円入りの財布を奪われた。

その後、男性は近くのコンビニに連れて行かれたが、ATM(現金自動受払機)は時間外で出金できなかった。結局、系列店を連れ回されるなどして計14時間にわたって監禁・暴行され、あばら骨を折る重傷を負った。

こうしたぼったくりの相談が昨夏から府警南署に相次ぎ、今年10月までの約1年間で、約260人が計約2200万円の被害を訴えた。中には2本で計100万円相当の高級腕時計を奪われたり、知人にまで電話させられ、肩代わりを迫られたりしたケースもあったという。

半グレとは、暴力団に属さない不良集団だが、府警はアビスを「準暴力団」と認定。府内にはアビスとは別に複数の組織があり、暴力団の資金獲得活動(シノギ)に関与しているとの指摘もある。

南署によると、アビスは少なくともガールズバー17店舗を経営し、「会長」と呼ばれる元少年(当時19歳)をトップに、幹部12人が客引きやボーイらを束ねるピラミッド型の組織。売上総額は月約5000万円に達し、元少年を通じて月30万〜50万円が指定暴力団に流れていたとみられる。府警は暴力団の事務所を捜索するなどして資金の流れを調べ、半グレとの関係に着目して捜査を続けている。

(写真)半グレ集団「アビス」が経営していたガールズバーが入居していたビル。
男性客が代金約65万円を請求されて暴行される事件も起きた=大阪市中央区で2018年12月14日(画像の一部を加工しています)
https://amd.c.yimg.jp/amd/20181216-00000034-mai-000-6-view.jpg

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20181216-00000034-mai-soci