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トランプ氏、壁建設めぐる政府閉鎖の脅しを取り下げ 
2018年12月19日

ドナルド・トランプ米大統領は18日、メキシコ国境の壁建設費を連邦議会が承認しなければ、連邦政府を閉鎖させるというこれまでの主張を取り下げた。連邦政府のつなぎ予算は今月21日に失効するため、それまでに追加予算案が成立しなければ、多くの連邦政府機関が業務を停止することになる。

ホワイトハウスのサラ・サンダース大統領報道官は、壁建設費は他の財源から確保すると述べた。報道官は大統領が「あらゆる連邦政府機関に、(壁建設に)使える資金がないか点検するよう」要請したと説明したが、具体的にどのように予算を工面するかは明らかにしなかった。

しかし、これについて野党・民主党のチャック・シューマー上院院内総務は、大統領には壁建設のため政府予算を自在に付け替える権限はなく、それには議会の承認が必要だと指摘。「壁のために承認などしない」と強調した。

民主党のナンシー・ペロシ下院院内総務は記者団に、メキシコ国境での壁建設は「お金の無駄遣い」だと述べた。
一方で、与党・共和党のミッチ・マコネル上院院内総務は同日、壁建設費についてホワイトハウスは「きわめて柔軟だ」とトランプ氏の判断を評価した。

トランプ大統領はこれまで、壁建設費として議会に50億を要求していた。

連邦議会は今月7日に失効予定だった連邦政府予算のつなぎ予算案を前日可決し、トランプ氏もこれに署名したものの、このつなぎ予算も今月21日に失効する。連邦議会がそれまでに追加予算案をまとめようとする中、トランプ氏は議会がメキシコ国境の壁建設費予算として50億ドルを認めなければ、連邦政府機関が予算切れで閉鎖することになってもかまわないと警告していた。

連邦議会は、国境警備に16億ドルの追加予算を認める用意はあるが、壁の建設費用にしてはならないという姿勢だ。連邦議会は上下両院とも共和党が多数党だが、トランプ氏が求める壁建設費が予算案に含まれている限り、必要な過半数の賛成票を得られない見通し。

民主党は一貫してトランプ氏の壁建設計画に反対しており、来年1月3日からは下院で多数党となる。
トランプ氏は18日の公式行事で記者団に、連邦政府は閉じるのか聞かれると、「様子を見よう。まだ早すぎるので分からない」と答えた。さらに「国境の安全保障が必要だ」とも述べた。

民主党のシューマー上院院内総務は、トランプ氏の過去の発言映像と共に「かつて――誰が壁代を払うのか? メキシコだ、メキシコだ、メキシコだ。今――誰が壁代を払うのか? アメリカの納税者だ。納税者から50億ドルもらえないなら、政府を閉めるぞ。トランプ大統領、どんなにかんしゃくをおこしても、壁は手に入りませんよ」とツイートしていた。
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