米ゴールドマン、金融スキャンダルに大揺れ=マレーシアのファンド事件
2018年12月27日18時27分
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 【ニューヨーク時事】米ウォール街の雄、ゴールドマン・サックスがマレーシアの政府系ファンド「1MDB」をめぐる巨額の資金流用事件に大きく揺れている。45億ドル(約5000億円)もの資金が消失した「一大金融スキャンダル」に関わったとして、米司法省はゴールドマンの元社員2人を起訴。当時の最高幹部が事件の「黒幕」とされる人物と面会していたことも明らかになり、組織的関与が疑われる事態に発展している。

 1MDBはマレーシアの経済振興を目的に2009年に設立。しかし、調達資金は高級不動産や美術品などの購入に充てられたほか、賄賂がナジブ前首相の周辺に流れた。同国当局は前首相らを背任罪などで起訴した。
 ゴールドマンは、1MDBが12〜13年に約65億ドルを調達した債券発行で主幹事を務め、引受手数料約6億ドルを得ていた。米司法省は11月、この案件を主導した元社員2人を海外腐敗行為防止法違反などの罪で起訴。逃亡中で事件の黒幕とされる華人系マレーシア人の実業家と共謀し、調達資金から27億ドルを不正流用したという。
 さらにマレーシア当局は今月17日、ゴールドマン子会社を証券取引法違反の罪で起訴。ゴールドマンは声明で「前政権や1MDBの関係者が、資金の使途について虚偽の説明をした」とし、組織的関与を否定した。
 しかし、米メディアは、ゴールドマンのロイド・ブランクファイン前最高経営責任者(CEO)が09年と13年の2回、黒幕の実業家と面会していたと報道。同社が1MDBの案件獲得にのめり込んでいた時期は金融危機後の収益低迷期と重なり、新興国市場での商機拡大を狙っていたとされる。
 米司法省の起訴後にゴールドマンの株価は約3割下落。同社を約12年間率いたブランクファイン氏からCEO職を10月に引き継いだデービッド・ソロモン氏は、早くも正念場を迎えている。