【ワシントン=永沢毅、北京=永井央紀】トランプ米大統領は29日、中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席と電話協議した。中国共産党機関紙の人民日報(電子版)によると、両国間の貿易交渉や北朝鮮問題について話し合った。トランプ氏は協議後にツイッターで「取引はうまくいっている」と明かし、貿易戦争の打開に向けた米中協議が順調に進んでいると訴えた。

人民日報によると、習氏は「双方が歩み寄ってウィンウィンかつ世界の利益になる合意をできるだけ早くまとめたい」と呼びかけた。1日の首脳会談で決めた交渉内容に関して「両国の交渉団が積極的に進めている」とも強調した。

トランプ氏はツイッターで「長く、とても良い電話協議をした」と指摘。2019年3月1日が期限の米中貿易協議を念頭に「もし合意が成立すれば、包括的であらゆる分野や争点を網羅したものになる。大きく進展しつつあるぞ!」とした。トランプ氏がこうした発言をするのは、米中貿易戦争の影響を受けた米国を含む市場の動揺を沈める狙いがあるとみられる。

米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ、電子版)は29日、米中が19年1月7日に北京で貿易協議の次官級会合を開くと伝えた。これで一定の進展があれば、ワシントンで閣僚級協議を開く可能性があるという。両国が3月までに中国の構造改革策で合意できなければ米国は2千億ドル(約22兆円)分の関税を10%から25%に上げる。

一方、中国は1月から知的財産権を巡る紛争を専門的に解決する法廷を最高人民法院(最高裁)に設けることを決めている。米国が協議の中で最重要視している知財保護に取り組む姿勢をアピールしたものだ。米国から輸入する自動車への関税を今の40%から15%に期間限定で引き下げる方針も決めており、一定の譲歩姿勢を示している。

2018/12/30 4:40 (2018/12/30 10:10更新)
日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO39582670Q8A231C1000000/
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