第九十九条 奴隷の運送の禁止
  いずれの国も、自国の旗を掲げることを認めた船舶による奴隷の運送を防止し及び処罰するため並びに奴隷の運送のために自国の旗が不法に使用されることを防止するため、実効的な措置をとる。
いずれの船舶(旗国のいかんを問わない。)に避難する奴隷も、避難したという事実によって自由となる。
第百条 海賊行為の抑止のための協力の義務
  すべての国は、最大限に可能な範囲で、公海その他いずれの国の管轄権にも服さない場所における海賊行為の抑止に協力する。
第百一条 海賊行為の定義
  海賊行為とは、次の行為をいう。
 (a)私有の船舶又は航空機の乗組員又は旅客が私的目的のために行うすべての不法な暴力行為、抑留又は略奪行為であって次のものに対して行われるもの
 (i)公海における他の船舶若しくは航空機又はこれらの内にある人若しくは財産
 (ii)いずれの国の管轄権にも服さない場所にある船舶、航空機、人又は財産
 (b)いずれかの船舶又は航空機を海賊船舶又は海賊航空機とする事実を知って当該船舶又は航空機の運航に自発的に参加するすべての行為
 (c)(a)又は(b)に規定する行為を扇動し又は故意に助長するすべての行為
第百二条 乗組員が反乱を起こした軍艦又は政府の船舶若しくは航空機による海賊行為
  前条に規定する海賊行為であって、乗組員が反乱を起こして支配している軍艦又は政府の船舶若しくは航空機が行うものは、私有の船舶又は航空機が行う行為とみなされる。
第百三条 海賊船舶又は海賊航空機の定義
  船舶又は航空機であって、これを実効的に支配している者が第百一条に規定するいずれかの行為を行うために使用することを意図しているものについては、海賊船舶又は海賊航空機とする。
当該いずれかの行為を行うために使用された船舶又は航空機であって、
当該行為につき有罪とされる者により引き続き支配されているものについても、同様とする。
第百四条 海賊船舶又は海賊航空機の国籍の保持又は喪失
  船舶又は航空機は、海賊船舶又は海賊航空機となった場合にも、その国籍を保持することができる。国籍の保持又は喪失は、当該国籍を与えた国の法律によって決定される。
第百五条 海賊船舶又は海賊航空機の拿捕
  いずれの国も、公海その他いずれの国の管轄権にも服さない場所において、海賊船舶、海賊航空機又は海賊行為によって奪取され、
かつ、海賊の支配下にある船舶又は航空機を拿捕し及び当該船舶又は航空機内の人を逮捕し又は財産を押収することができる、拿捕を行った国の裁判所は、科すべき刑罰を決定することができるものとし、
また、善意の第三者の権利を尊重することを条件として、当該船舶、航空機又は財産についてとるべき措置を決定することができる。