第百六条 十分な根拠なしに拿捕が行われた場合の責任
  海賊行為の疑いに基づく船舶又は航空機の拿捕が十分な根拠なしに行われた場合には、拿捕を行った国は、その船舶又は航空機がその国籍を有する国に対し、その拿捕によって生じたいかなる損失又は損害についても責任を負う。
第百七条 海賊行為を理由とする拿捕を行うことが認められる船舶及び航空機
  海賊行為を理由とする拿捕は、軍艦、軍用航空機その他政府の公務に使用されていることが明らかに表示されておりかつ識別されることのできる船舶又は航空機でそのための権限を与えられているものによってのみ行うことができる。
第百八条 麻薬又は向精神薬の不正取引
1 すべての国は、公海上の船舶が国際条約に違反して麻薬及び向精神薬の不正取引を行うことを防止するために協力する。
2 いずれの国も、自国を旗国とする船舶が麻薬又は向精神薬の不正取引を行っていると信ずるに足りる合理的な理由がある場合には、その取引を防止するため他の国の協力を要請することができる。
第百九条 公海からの許可を得ていない放送
1 すべての国は、公海からの許可を得ていない放送の防止に協力する。
2 この条約の適用上、「許可を得ていない放送」とは、国際的な規則に違反して公海上の舶舶又は施設から行われる音響放送又はテレビジョン放送のための送信であって、一般公衆による受信を意図するものをいう。ただし、遭難呼出しの送信を除く。
3 許可を得ていない放送を行う者については、次の国の裁判所に訴追することができる。
 (a)船舶の旗国
 (b)施設の登録国
 (c)当該者が国民である国
 (d)放送を受信することができる国
 (e)許可を得ている無線通信が妨害される国
4 3の規定により管轄権を有する国は、公海において、次条の規定に従い、許可を得ていない放送を行う者を逮捕し又はそのような船舶を拿捕することができるものとし、また、放送機器を押収することができる。