JIC騒動で露呈…官民ファンドは血税しゃぶる“天下り集団”
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 空中分解必至の官民ファンド「産業革新投資機構(JIC)」。社外取締役を辞任した星岳雄・米スタンフォード大教授は「ゾンビ企業の救済機関になろうとしている」
とJICの姿勢を批判していたが、この通りであれば、役員の高額報酬以上に大問題だ。原資は税金なのだ。

 世耕経産相は11日の閣議後会見で、経産省が2019年度のJIC関連予算として要求していた1600億円の全額取り下げを表明。司令塔を失ってダッチロール状態
に陥ったのだから当然とはいえ、突然、予算全額を取り下げても「問題ナシ」で済むのであれば、そもそも何のために2000億円近い予算を要求していたのか。

 官民ファンドは財政投融資を中心とする多額の税金が投じられている。3日に官邸で開かれた「官民ファンドの活用推進に関する関係閣僚会議幹事会」によると、14の
官民ファンドに対する政府の出資金は9月末時点で7926億円に上り、さらに2兆9849億円の政府保証が付いている。ファンド経営が行き詰まれば当然、巨額の税金
はパーになるワケだが、実に9ファンドが累積赤字を抱える惨憺たる状況だ。

例えば財務省が問題視しているファンドのひとつ、「株式会社農林漁業成長産業化支援機構(A―FIVE)」。農林漁業者の6次産業化の取り組み支援を目的として13年、
国が300億円を出資して設立されたが、6期連続の赤字で、今年3月期の累積損失は約64億円。「ファンドはマイナスからの出発であり、投資先企業の事業がうまくいき、
企業価値が高まることで我々も収益が上がるビジネス」(A―FIVE総務部)と説明するが、単年度黒字化のメドは24年度というからクラクラする。ファンドに共通して
いるのが、多くが関係省庁から複数の出向者を抱えていることだ。

 結局、「ベンチャー企業支援」なんて看板だけで、中身は税金をしゃぶる「天下り組織」に過ぎない。14ファンドのうち、12ファンドは第2次安倍政権発足後に設立。
これ以上、血税を失わないためにも、すべてのファンドを潰すべきだ。