ファーウェイ事件介入宣言 トランプは日米FTAでも牙を剥く
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/243744

 中国の通信機器大手「華為技術」(ファーウェイ)の幹部が米国の要請でカナダで逮捕された事件。その報復なのか、中国ではカナダ人の元外交官と
実業家の2人が拘束され、波紋が広がっている。

 事件の背景に米中貿易交渉をめぐる対立があるのは間違いないが、トランプ大統領はそれを隠すことなく公言したから驚いた。ファーウェイ幹部の身柄の米国への
引き渡しについて、11日に「(米中間の)貿易取引にとって良いことなら捜査に介入する」とロイター通信のインタビューに答えた一件である。

 外交と司法をディールの材料に使うとは、「自分の要求を通すためなら、何だって利用する」無法者トランプの本質がよく分かる。日本も今回の一件を“対岸の火事”
と見ない方がいい。

「安倍首相はトランプ大統領に、最新鋭ステルス戦闘機『F35』100機の追加購入を約束させられました。来年5月に即位する新天皇と最初に面会する外国首脳が
トランプ大統領になったのも、どうやら大統領がそれを熱望していたからのようです。大統領の要求には歯止めがありません」(自民党関係者)

 日米間では事実上のFTA(自由貿易協定)交渉が来年1月から始まる。日本は「TAG(物品貿易協定)」だとして農産物でお茶を濁したい考えだが、米国の本命は、
やはり自動車だ。今月6日、米国の国際貿易委員会が開いた公聴会では、全米自動車労組代表が「日本政府が輸出に有利なように円安誘導をしていることが問題」と
為替条項の導入を求めた。

 米政府が最大100万台の輸出制限を求めてきていることも国交政務官が明らかにしている。2017年の対米輸出は174万台だから、100万台も削減されたら、
日本の自動車業界は壊滅的だ。

「トランプ大統領は自分の仲間ならば法律を無視してでも便宜を与える一方、敵には徹底的に厳しくあたる傾向があります。安倍首相はトランプ氏と良好な関係を
築いているつもりでしょうが、自動車や鉄鋼などの古い産業を守りたいトランプ氏にとって、貿易交渉は別次元の話。ソフトバンクは提携するファーウェイの事件に
巻き込まれ、日産は米仏対立に巻き込まれたとの見方もあります。何でもありのトランプ氏には、自動車業界も怖くて逆らえないでしょう」(経済評論家・斎藤満氏)

 安倍に無理なのは当然とはいえ、もはや世界は誰もトランプの暴走を止められないのか。