2019年01月21日 12時30分
https://gigazine.net/news/20190121-striped-bodypainting-protects-against-horseflies/
https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/a/a0/Etiopia_valle_dll_omo_%281%29.jpg/640px-Etiopia_valle_dll_omo_%281%29.jpg

蚊やツェツェバエなど動物を吸血する害虫が存在する地域の部族や民族は、細菌や寄生虫、その他の病原体にかかるリスクにさらされています。このような地域に住む人々にはボディペイントを施す習慣がしばしば見られますが、スウェーデンとハンガリーの研究者が、ボディペイントに昆虫を遠ざけ、病気から人々を守る効果があることを証明しました。

Striped bodypainting protects against horseflies | Royal Society Open Science
https://royalsocietypublishing.org/doi/10.1098/rsos.181325

Body-painting protects against bloodsucking insects -- ScienceDaily
https://www.sciencedaily.com/releases/2019/01/190117122711.htm

この研究では、プラスチック製の茶色のモデルと、同じくプラスチック製の白黒しま模様のモデルを用いて「どれくらい虫を引き寄せるか?」が調べられました。実験場所はハンガリーで、研究チームは人間の成人と同じサイズのプラスチックモデル3体のうち1体を暗色に、1体を白と黒のしま模様に塗りました。そして、昆虫を捕まえる接着材をモデルに塗って実験を行ったところ、茶色のモデルはしま模様のモデルの10倍も虫を引き寄せることが示されたとのこと。また、対照実験で使用されたベージュ色のモデルの場合、引き寄せられる虫の数はしま模様のモデルの2倍に上ったそうです。
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スウェーデンのルンド大学で生物学を研究する Susanne Akesson教授は、「ボディペインティングは、人類が服を着るはるか前から行われてきました。ネアンデルタール人が暮らした洞窟の壁画からも考古学的な発見からも、黄土のような土を使ってボディペインティングが行われていたことが示されています」と語り、ボディペインティングという文化がいつ始まったのかは分からないものの、異なる大陸でほぼ同時に発達した可能性があることを示しています。

研究チームはこれまでに、シマウマのしま模様が吸血する虫からシマウマを守る役目を果たしていること、また白色の馬の毛皮にも同様の役割があることなどを示してきました。この研究は2016年にイグノーベル賞の物理学賞を受賞しています。今回の研究は過去研究をさらに発展させ、人間の成人と同じサイズのプラスチックモデルを使用したとのこと。
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この研究では、立たせたモデルとあお向けにさせたモデルで違いが出るか?ということも調べられたところ、立たせたモデルに引き寄せられたのはメスのみで、あお向けのモデルにはオスとメスの両方が引き寄せられたことも示されました。これまでの研究で、オスは水を飲み水面に着地する際、水が反射する「水平」の光をシグナルとして水面に近づき、メスは血を吸うために「垂直」方向のシグナルに反応することが示されてきました。縦と横にしたモデルで示された研究結果は、このような過去研究の結果と一致するとのことです。