“猫駅長”が入院 ファン「芸備線とともに復活を」
毎日新聞 2019年2月7日 10時00分(最終更新 2月7日 10時06分)
https://mainichi.jp/articles/20190207/k00/00m/040/055000c

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JR芸備線志和口駅周辺で乗客を迎えていたころのりょうま=広島市安佐北区白木町で2015年9月18日、菅沼舞撮影

 西日本豪雨で一部運休となったJR芸備線の志和口(しわぐち)駅(広島市安佐北区)で猫駅長を務める「りょうま」(雄、推定14歳)が、先月末から病気で入院している。
運休で閑散とする同駅は人気駅長も不在となり、火が消えたように静かになった。ファンや周辺住民は「早く元気を取り戻し、芸備線とともに復活を遂げて」と祈っている。

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https://mainichi.jp/graphs/20181018/hpj/00m/040/003000g/2

 昨年7月の豪雨で芸備線の鉄橋が崩落、運休となってからも、りょうまは無人となった同駅でひたすら乗客を待ち続けた。しかし、最近になって体調を崩し、先月末に駅から約40キロ離れた広島市内の動物病院に入院した。

 りょうまは人間なら70歳以上とみられる。住民らでつくる「りょうまを見守る会」の事務局長、中原英起さんによると、高齢化に加え、腎臓が悪く餌が食べられない状態が続き、体重は健康時の約6キロから半減。病院で点滴を受けており、心配したファンから1日10件ほどの問い合わせが同会にあるという。

 りょうまは2010年、ふらりと志和口駅に現れ付近にすみ着いた。りりしい見た目と、おだやかで愛らしい性格で住民から可愛がられ、13年に非公認の駅長に就任。
駅周辺は過疎化が進み、乗客や観光客はほとんどいなかったが、りょうまの存在が知られると、カメラ愛好家や猫好きの観光客が訪れ始め、にぎわうようになった。豪雨の後、昨年10月に駅の窓口業務が再開し、りょうま目当てのファンも少しずつ訪れるようになっていた。

 芸備線は三次(みよし)(広島県三次市)―狩留家(かるが)(広島市安佐北区)間で運転見合わせが続いているが、JR西日本は4月上旬から志和口駅も含めた三次―中三田(同区)間で暫定的に運転を再開し、秋には全線再開させる見通し。中原さんは「りょうまが早く元気になって、駅の復興を見てほしい」と話している。【菅沼舞】