2019.2.13 16:13
https://www.sankei.com/affairs/news/190213/afr1902130024-n1.html

 会社法違反(特別背任)などの罪で起訴された日産自動車前会長、カルロス・ゴーン被告(64)の弁護人に、弘中惇一郎弁護士(73)が就いたことが13日、関係者への取材で分かった。ゴーン被告は元東京地検特捜部長の大鶴基成弁護士(63)らを選任していたが、大鶴氏らは同日辞任した。

 関係者によると、東京地裁で14日に行われる検察側、弁護側、裁判官によるゴーン被告らの公判に向けた初協議には、ゴーン被告の弁護人として弘中氏が出席するという。

 弘中氏は過去に特捜部が手がけた複数の事件で弁護人を務め、「無罪請負人」の異名を持つことで知られる。ロス疑惑銃撃事件の三浦和義・元会社社長や薬害エイズ事件の安部英(たけし)・元帝京大副学長の無罪判決を勝ち取ったほか、近年では郵便不正事件で厚生労働省の村木厚子元事務次官や、政治資金規正法違反罪で強制起訴された小沢一郎自由党代表の無罪にも関わった。

 ゴーン被告は平成20年10月、私的な投資で生じた約18億5千万円の評価損を日産に付け替えたほか、サウジアラビアの知人の会社に21年6月〜24年3月、日産子会社から計1470万ドル(当時のレートで約12億8400万円)を入金させたとして特別背任罪で起訴された。

 また、ゴーン被告と側近で前代表取締役、グレゴリー・ケリー被告(62)=保釈=は、22〜29年度のゴーン容疑者の報酬を計約91億円過少に有価証券報告書に記載したとして金融商品取引法違反(有価証券報告書の虚偽記載)罪で起訴された。

 ゴーン被告は昨年11月19日に金商法違反容疑で逮捕されて以来、東京拘置所(東京都葛飾区)で3カ月近く勾留されている。1月11日の追起訴後、大鶴氏ら弁護団は2度にわたり保釈請求を出したが、東京地裁がいずれも却下。証拠隠滅の恐れがあることなどが理由とみられる。