島根県・竹島の南側に広がる海底の盆地「対馬海盆」を、韓国名の「鬱陵ウルルン海盆」と呼び、国際的な学術誌などに発表された韓国の論文数が増加している。鬱陵への名称変更を目指した韓国政府の影響を受けた動きとみられている。(編集委員 笹沢教一)

国際水路機関(IHO)と国連教育・科学・文化機関(ユネスコ)が運営する「大洋水深総図」には、海盆の国際公式名として、「対馬海盆」が登録されている。総図には、世界の海底地形の国際公式名が網羅され、公文書に海底地形名を記載したり、国際学術誌に論文を発表したりする時には、総図の公式名を使うことが国際ルールとなっている。

 論文専用の検索サイト「グーグル・スカラー」によると、「鬱陵海盆」を表題や本文などに使った国際学術誌への英文論文は2001年には50件にも満たなかったが、07年頃から増加し、15年以降は年250件前後で推移している。ほとんどが韓国人研究者によるものだが、中国の論文も含まれる。一方で、国際公式名の対馬海盆を使った論文はこれまで、年に数〜十数件しかない。うち半数は、鬱陵海盆と併記しており、対馬海盆の単独使用は少ない。

■韓国政府は鬱陵使用

 鬱陵海盆の使用が増加した背景には、韓国政府が鬱陵海盆の名称を使い、この海域での次世代資源メタンハイドレートの開発を進めている事情があるとみられる。韓国の研究者は、この開発に役立つ有用な情報を確保しようと、国際誌に論文を投稿する活動が活発化しているようだ。

 また、韓国側が、対馬海盆など竹島周辺の海底地形名の変更を国際機関に提案する動きを見せたことも見逃せない。韓国は、対日関係が悪化した06年、最新の測量データを集め、海底地形の公式名を決める国際組織、海底地形名称小委員会(SCUFN)に名称変更を申請しようとしたが、外交交渉の結果、韓国側が申請を取り下げた。

 以後、地形名を変更する動きは沈静化したが、韓国政府が、変更を目指す姿勢は崩していない。このため、韓国の海洋研究者らの間で、この海域の名称として、鬱陵海盆を使用する意識が高まったとみられている。

■実態変える狙い

以下ソース先で

2月19日 09:59 読売
https://www.yomiuri.co.jp/world/20190219-OYT1T50090/