【ワシントン=河浪武史】米連邦準備理事会(FRB)は20日、1月29〜30日に開いた米連邦公開市場委員会(FOMC)の議事要旨を公表した。保有資産を縮小する「量的引き締め」を巡って議論し、ほぼ全ての参加者が「終了時期は2019年後半」とみていることが分かった。世界景気の不透明感が増しており、当初の想定よりも大幅に早く終結する。

1月のFOMCでは追加利上げを見送り、当初は19年中に2回を想定していた追加利上げも「当面は様子見する」と棚上げすることを決めた。議事要旨では「海外経済の減速や米国の財政効果の衰えなどを不安視し、企業心理が若干弱含んでいる」などと景気の先行きに懸念をにじませた。

FOMCでは資産縮小政策の見直しも議論した。08年の金融危機後の量的緩和で、米国債や住宅ローン担保証券(MBS)を大量に買い入れたが、17年秋から保有量を減らす「量的引き締め」に転じていた。市場には利上げとともに二重の圧力となり、景気の先行きを警戒し始めた投資家らの懸念材料になっていた。

そのため1月のFOMCでは「バランスシートの正常化の詳細を修正する用意がある」と表明すると決めた。パウエル議長は18年12月のFOMC後の記者会見で「資産縮小は順調で見直す予定はない」と主張していたが、1月の会合では「経済や市場の動向に応じて柔軟に見直すのが適切だ」と方針転換することで参加者は一致した。

FRBはこれまで資産縮小の終了時期を明示してこなかったが、ほぼ全ての参加者が19年後半とみていることも分かった。パウエル氏らは当初、21年から22年にかけてが終了時期と示唆していたが、大幅に前倒しする。

資産縮小の終了を早めるのは、潤沢な手元資金を持ちたい金融機関が、FRBに余剰資金を預けるニーズが高まっているためだ。資産縮小が行き過ぎれば市場の資金不足につながって、政策金利に不要な上昇圧力がかかる可能性があった。議事要旨では資産縮小の終了時期を「まもなく公表する」としており、早ければ3月の次回FOMCで詳細を明示する。

FOMCでは先行きの利上げシナリオも議論し、大半の参加者が「政策金利の調整を様子見するのが適切だ」と判断した。市場にはFRBが15年末から続く利上げサイクルを事実上終結したとの見方がある。議事要旨では数人の参加者が「追加利上げが必要になるのは、想定よりも物価が上振れしたときだけだ」と主張。一方でほかの数人は「経済が想定通りに推移すれば19年後半の利上げが適切だ」と述べ、若干の追加利上げがある可能性に触れた。

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2019/2/21 5:12 (2019/2/21 5:46更新)
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