浜松市天竜区と北区で生産されたヒノキの大木が二十日、二〇二二年末の完成を目指す名古屋城天守閣(名古屋市)の木造復元事業に使われることが決まった。同日、浜松市浜北区の県森林組合連合会天竜事業所であった「冬期高齢級材記念市」に復元事業関係者が訪れ、出品された四本を競り落とした。天守閣の柱に使われるという。

 浜松市は天竜材の販路拡大に取り組み、ブランド化や認知度を高める施策を推進している。天守閣復元事業には大量の木材が調達されるため、名古屋市に活用をアピールしていた。

 落札されたのはいずれも樹齢百二十年から百五十年ほどで、幹の直径が五十センチを超える逸品。

 天竜地区は国際基準を満たした森林管理を示すFSC認証の森林面積が約四万五千ヘクタールあり、市町村で全国一の規模。

 市によると、復元事業の関係者が視察に訪れ、市産のヒノキの質を「粘りが強く、構造材に適している」と高く評価した。この日落札されたのもいずれも認証材。

 この日は落札を受けて同事業所でセレモニーがあり、鈴木康友市長は「名古屋城に市のヒノキを使ってもらえるのは望外の喜び」とご満悦。

 名古屋市の河村たかし市長も駆け付け、「切り口を見るとべっぴんさん。百五十歳のお嬢さんを名古屋に嫁にもらうということだ」と関係者に感謝した。

 名古屋城は一六一二年、徳川家康の命で築城された。一九四五(昭和二十)年に太平洋戦争の空襲で焼失し、現在の名古屋城は五九年に鉄骨鉄筋コンクリート造りで再建された。焼失前の実測図などを基に、名古屋市が木造復元事業を進めている。

(原一文、宮沢輝明)

競り落とされたヒノキを見る鈴木康友市長(左)と河村たかし市長=20日、浜松市浜北区で(宮沢輝明撮影)
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