海南市の下津地区で、特産品の「蔵出しみかん」の出荷が最盛期を迎えています。長いものでは3か月間にわたり、手間暇をかけて貯蔵したミカンで、豊かな甘みと爽やかな香りが特徴です。

下津地区は、全国でも有数のミカン産地ですが、水はけが悪く、山間地で気温が低いことから、酸味が強くなる傾向がありました。このため、収穫してすぐには食べず、まろやかな味になるまで待つ習慣が江戸時代から広まったとされます。今は、12月ごろまでに収穫したミカンを瓦葺きの土蔵のような貯蔵庫に保管し、引き出しのような木箱に入れて、湿度と温度を管理しています。今月(2月)15日には、伝統的な農業を営む地域として、日本農業遺産に認定されました。

海南市のJAながみね営農指導員の坂田寛樹(さかた・ひろき)さんは、「労力はかかるが、長い歴史が評価されてうれしい。多くの人に味わってもらいたい」と笑顔で話しました。海南市下津地区の蔵出しミカンは、来月(3月)上旬まで、関西方面を中心に、およそ1万3千トンが出荷されます。

和歌山県は、ミカンの年間出荷量が全国1位で、海南市下津町地区は、有田川町に次ぐ生産量を誇り、およそ300年前の元禄時代には、豪商・紀伊国屋文左衛門(きのくにや・ぶんざえもん)がミカンを江戸まで運んだ船出の地、下津港もあります。

https://wbs.co.jp/news/2019/02/24/130135.html
2019年02月24日 17時41分、WBS 和歌山放送ニュース