兵庫県明石市は28日、職員に暴言を吐いた責任を取って市長を辞職した泉房穂ふさほ氏(55)に、退職金1396万円を支給した。市の条例では、懲戒免職に相当する行為を犯した場合は退職金の支給が停止されるが、市は「暴言によるパワハラは停職が相当であり、支給は妥当」としている。

 泉氏は2017年6月、市内の道路拡幅事業に伴うビル立ち退き交渉が進まないことに激高し、担当職員に「火をつけて捕まってこい。建物を燃やしてこい」などと暴言を吐いた。今年1月、この事実が発覚し、2度の記者会見で「パワハラ以上のひどい発言」「自分に厳しい処分を下すべきと考えた」などと述べ、2月2日付で辞職した。

 市の条例では、退職金は退職1か月以内に支給すると規定されており、支給を停止できるのは、対象者が懲戒免職に相当する行為を犯した場合や、刑事事件を起こしたと思われる場合に限られている。

 市は暴言について、内部規定に照らして停職相当と判断。泉氏は暴言で職員を脅したとして脅迫容疑で神戸地検に告発されているが、「現段階で起訴されていない」として支給を決めた。

 起訴された場合、支給を停止する要件に該当し、市が泉氏に返還を求める事態になる可能性がある。

 泉氏の辞職に伴う市長選は3月10日告示、17日投開票で、これまでに3人が立候補の意向を示している。泉氏は態度を明らかにしていない。読売新聞は泉氏に取材を申し込んだが、泉氏から回答はない。

3月1日10:00 読売新聞
https://www.yomiuri.co.jp/politics/20190301-OYT1T50139/