ファーウェイ、スマホ部品の供給増要請 日本企業に

中国の通信機器最大手、華為技術(ファーウェイ)が村田製作所や東芝メモリなど日本企業に対し、スマートフォン(スマホ)部品の供給積み増しを求めていることが分かった。一部企業には通常の2倍程度と異例の発注規模となる。米政府が中国企業への圧力を強めるなか、
在庫を増やし調達網の断絶を防ぐ狙いもあるとみられる。
ファーウェイはスマホ新モデルの生産が本格化する初夏までの出荷増を相次ぎ要請した。村田製作所は通信部品について通常より2倍程度の発注を受けたもようで、要請に応じ出荷を増やす。ロームも5月ごろまでIC(集積回路)やカメラ関連部品の供給を増やす。

京セラもコンデンサーなどの回路部品について一部追加の発注を受けたほか、半導体では東芝メモリがデータ保存に使うフラッシュメモリー
製品について前倒しで調達要請を受けた。ファーウェイは台湾企業などからも調達を増やしている。

米政府は昨年4月、中国通信機器2位の中興通訊(ZTE)に対しイラン制裁違反を理由に米企業との取引を禁じた。ZTEはスマホ向け半導体を
調達できなくなり、経営危機に陥った。

ファーウェイは半導体の内製化を進める一方、スマホ用の電子部品では日米企業が市場を二分する分野も多い。一部の日本企業は同社から
「米国からの部品調達が難しい」と説明を受けたといい、サプライチェーンの維持へ部品在庫を積み増す狙いとみられる。日本の部品各社は
米中摩擦に巻き込まれるリスクを慎重に勘案しながら、今後の事業展開を検討する。

米国は昨年、米政府機関がファーウェイなど中国のハイテク5社の製品を使うのを禁じる「2019年度米国防権限法」を成立させた。ファーウェイは
近く同法を巡り米政府を提訴すると報じられるなど、ハイテク摩擦が激しさを増す。

スマホ向けの電子部品や半導体は足元では、米アップルのiPhoneの販売不振を受け受注や市況が下振れしている。各社はアップル向けの受注が減り、
生産余力が出ている。ファーウェイは18年に約66億ドル(約7400億円)だった日本企業との取引額を19年に80億ドルに増やす計画を示している。
日本経済新聞の取材に対し、ファーウェイは6日午後5時半時点でコメントしていない。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO42102820W9A300C1MM8000/