ロブサン・センゲ氏
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 インド北部ダラムサラにあるチベット亡命政府のロブサン・センゲ首相が西日本新聞の取材に応じ、チベット仏教最高指導者ダライ・ラマ14世(83)の後継者について、年内にも選出方法を話し合う高僧会議が開かれるとの見通しを示した。死去後に生まれ変わりを探す現行の「輪廻(りんね)転生」制度とは異なる選択肢も議論され「最終的にはダライ・ラマ法王が(選出方法を)決める」と話した。(ダラムサラ本紙取材班)

 高僧会議は昨年11月に予定されていたが、主要宗派の高僧死去を受けて延期された。センゲ氏は5月には後任の高僧が選出されるため「高僧会議は今年中か、来年早々に行われる」と述べた。ダライ・ラマは後継選出にはチベット社会の民意が重要との考えを示しており、センゲ氏は「一般民衆の会議も今年中に開かれる」と話した。

 高僧会議では輪廻転生制度のほか、ローマ法王庁のような高位聖職者による選出と、ダライ・ラマ自身による生前指名も議論されるとみられる。センゲ氏は「二つの会議の結論を踏まえた上で、法王の生まれ変わりがいつ、どこに、どのように現れるかは法王が最終的に決める」と話した。

 歴代のダライ・ラマは死後、その生まれ変わりの少年を高僧らが探して後継者とする伝統が続いてきた。しかし、この方法では後継者認定まで数年から10年程度の期間がかかる。その間に中国政府が都合の良い人物を後継者に据える恐れがあり、センゲ氏も「中国が口出しする危険性は大いにある」と懸念を示した。

 亡命チベット社会の人口減少については、3人目の子供が生まれた世帯に助成金を出すなど対策に努める考えを示した。中国に戻る難民2世については「年老いた親の面倒を見るために戻っているが、戻って良かった、幸せだという人はあまりいない」と指摘した。

 国際的な存在感を高めている中国については「2、3年前から中国が本当に良い国家なのか、悪い国家なのかが国際社会で話題になるようになった。逆にチベットへの支援は増えている」と話した。

西日本新聞 2019年03月18日 14時37分
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