夜の政治
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福岡知事選 「麻生氏のオウンゴール」 自民推薦候補惨敗、忖度発言も響く 
毎日新聞 2019年4月7日 22時43分(最終更新 4月7日 22時43分)

地方政界での確執などを背景に保守分裂選挙となった。そのうちの一つ、福岡県知事選は、現職の小川洋さん(69)が元厚生労働官僚で新人の武内和久さん(47)を大差で破った。自民党は武内さんを推薦したが、党の大物OBが小川さん支援に回り、県選出衆院議員の過半数が「造反」。終盤には下関北九州道路を巡る塚田一郎元副国土交通相の「忖度(そんたく)」発言で与党批判も強まり、惨敗を喫した。

 「ビジョンや政策をしっかり伝えきれなかった」。7日夜、支持者を前に武内さんは深々と頭を下げた。擁立を主導した麻生太郎副総理兼財務相は「極めていい候補だった。我々の力不足。皆さんの期待、力に応えられなかった」と擁護した。

 自民は過去2回の知事選で小川さんを支援したが、2016年の福岡6区補選で麻生氏や県連が推す候補を小川さんが応援せず関係が悪化。公募に応じた武内さんを党が推薦したため、国会議員、大物OB、有力支援団体も巻き込んだ保守分裂選挙となった。

 武内陣営は選挙ポスターに高島宗一郎・福岡市長の顔写真を張るなど、なりふり構わず追い上げを図ったが、集会に応援で訪れた塚田氏が、福岡県と安倍晋三首相の地元、山口県を結ぶ下関北九州道路の建設計画を巡り首相と副総理の意向を「忖度した」と発言。副国交相辞任に追い込まれ、地元支援者から批判も出ていた。

 一方、小川さんは「県民のリーダーは県民が決める。多くの県民から支えてもらった」と感謝。麻生氏と長年覇権争いを繰り返してきた自民の山崎拓元副総裁は「わがままが県民のしっぺ返しを受けた。麻生さんのオウンゴールだ」と述べた。【西嶋正法、志村一也、佐野格】

敗戦が濃厚になり、支援者らに頭を下げる武内和久さん=福岡市博多区で2019年4月7日午後8時9分、矢頭智剛撮影
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