韓国 8県の水産物輸入禁止 日本が逆転敗訴 WTOが報告書

原発事故による汚染水問題を理由に、韓国政府が福島など8つの県の水産物の輸入を禁止していることについて、WTO=世界貿易機関の上級委員会は、
韓国側に是正を求めた第1審にあたる小委員会の判断を取り消すとした報告書を公表しました。日本の主張が退けられ、事実上、敗訴した形となります。

吉川農相「安全性否定していない」

吉川農林水産大臣は、「韓国の措置がWTO協定に整合的だと認められたわけではないが、わが国の主張が認められなかったことは、
復興に向けて努力をされてきた被災地の人たちのことを思うと誠に遺憾だ」と述べたうえで、今後は韓国との2国間の協議で規制の撤廃を求めていく考えを示しました。

また、吉川大臣は「上級委員会の判断は1審にあたる小委員会の判断に誤りがあることを指摘したもので、日本の食品の安全性を否定したものではない」と述べました。

そのうえで、「日本が出荷規制で放射性物質の基準値を超えた食品は流通させない体制を構築し、徹底したモニタリングをしていることを改めて伝えていきたい」と述べ、
韓国だけでなく日本の食品の輸入を規制しているほかの国や地域に対しても、引き続き規制の撤廃や緩和を求めていく考えを強調しました。

河野外相「韓国との協議を通じ 措置の撤廃求めていく」

河野外務大臣は「日本の主張が認められなかったことは誠に遺憾だ。報告書の内容を分析し、今後の対応を検討していく。
日本としては、韓国に対して規制措置全体の撤廃を求めるという立場に変わりはなく、報告書を踏まえて韓国との協議を通じて、措置の撤廃を求めていく」という談話を出しました。

渡辺復興相「風評払拭(ふっしょく)に粘り強く取り組む」

渡辺復興大臣は閣議のあとの記者会見で、「日本の主張が認められなかったことは大変遺憾だ。復興庁としては、輸入規制の撤廃と海外での風評の払拭に向けて、
関係省庁と連携し、粘り強く取り組んでいきたい」と述べました。

鈴木五輪相「五輪・パラでも被災地食材を積極活用」

鈴木オリンピック・パラリンピック担当大臣は閣議のあと記者団に対し、「被災地の皆さんは、風評被害に大変苦労されているわけで残念だ。
オリンピック・パラリンピックに関しても、被災地の食材を積極的に活用したいと思っている。そういうことも通じて、風評被害を払拭するため、
被災地でできる食材のすばらしさをぜひ発信していきたい」と述べました。

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20190412/k10011881421000.html