2019/04/16 16:55 Naoko Iwanaga
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ALS患者の介助の必要性を調査しに訪れた福祉担当職員が、患者が一言ずつコミュニケーションを図ろうとする姿に対して投げつけた言葉だった。

病気によって声を発することのできない人が道具を使って意思を伝えようとしているのに、役所の職員がからかうような言葉を投げつけたらどんな気持ちになるだろうか?

筋肉を動かす全身の神経細胞が侵され、体が動かなくなっていく進行性の難病「ALS(筋萎縮性側索硬化症)」。

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Naoko Iwanaga / BuzzFeed
会見する高田泰洋さん(左)と弁護団の藤岡毅さん(左から2番目)、徳田玲亜さん(右から2番目)、山田恵太さん(右)

埼玉県吉川市に住むALSの患者、高田泰洋さん(43)が、訪問調査をした市役所職員に対し文字盤を使って回答しようとしたところ、この職員から「時間稼ぎですか?」などと言われていたことがわかった。

同席していた弁護士がその場ですぐ抗議したが、職員から反省の言葉は未だない。

高田さんの代理人を務める弁護団は4月15日付で中原恵人市長宛てに、「発語機能に障害のある通知人の障害特性を非難・揶揄するもので、絶対に許されざる人権侵害行為であり、強く抗議します」とする抗議声明を内容証明で送付した。

4月16日、埼玉県庁記者クラブで会見した高田さんは、文字盤を使って、「福祉課だから許せない」「ただただ、悔しかった」と訴えた。

◇ 公的な介助の必要性を調べるための訪問調査で発言

高田さんは2015年6月、ALSと診断された。現在は、一人で歩いたり手足を動かしたりすることはできず、右手の人差し指をわずかに動かすことだけできる。飲み込む機能が衰えて2017年1月から胃ろうをつけ、夜間だけマスク式の人工呼吸器をつけて生活している。

声も出づらくなったため、1年ぐらい前からヘルパーが掲げる透明な50音の文字盤の文字を、視線の動きや瞬きを使って指定し、ヘルパーがそれを読み上げることで意思を伝えている。
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文字盤で意思を伝える高田さんとヘルパーの女性

問題の言葉は、4月12日午後3時半頃、吉川市の障がい福祉課の職員3人が介護の必要度がどれほどなのか確認するため、訪問調査をした時に発せられた。

一人の職員が「今、寝返りはご自身でできますか?」という問いに対して、高田さんが文字盤を使って「できない」と答えた直後に、こう発言した。

「時間稼ぎですか?」「できないように見せているのでは?」

立ち会っていた弁護士がすぐさま抗議したが、3人は特に謝罪や反省する言葉もなく、そのまま調査を進めたという。
※ 全文は記事で
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高田さんが意思疎通に使っている文字盤