大津市大江1丁目の介護付き有料老人ホーム「コンソルテ瀬田」に入居していた女性=当時(91)=が2016年、不適切なトイレ介助で転倒した事故による摂食障害で飲食できなくなり死亡したのは、施設側が入居者の安全に注意する義務を怠ったのが原因として、遺族が施設運営会社に損害賠償を求めた訴訟の判決が23日、大津地裁であった。西岡繁靖裁判長は請求通り約2520万円の支払いを命じた。

 西岡裁判長は判決理由で、女性を洋式トイレの便座に横向きに座らせた介助について「身体能力が低下しており、滑落・転落の危険を伴う不適切な方法で、危険性を予見できた。正面向きに座らせて手すりを設置していれば、事故を回避できた」と指摘した。

 その上で、女性は転倒後に極めて短期間で食べ物を飲み込む力が低下したことから「事故以外に原因はあり得ない」として、死亡との因果関係も認定した。

 判決によると、女性は16年11月20日午前6時50分ごろ、トイレに横座りさせられ、介助職員が目を離した10〜15分間に便座から滑落して顔面を負傷。摂食不能となり、17年2月9日に亡くなった。

 判決後、女性の長女(69)が京都新聞社の取材に応じ、「天寿を全うできなかった母の悔しさが認められた。余生の最後の時間を安全に過ごせるよう、施設は取り組みを進め、二度と事故が起きないよう心してほしい」と話した。

2019年04月23日 22時25分配信
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