世耕弘成経済産業相が大手コンビニエンスストアに行動計画の策定を要請した背景には、24時間営業の問題が長引けばフランチャイズ(FC)ビジネスの規制につながりかねないとの懸念がある。

 コンビニ各社に自主的な改善を求めることで社会インフラとして定着しているコンビニのビジネスモデルを維持、消費生活への影響を最小限にとどめる苦肉の策といえる。

 「インフラとして生活上必要」。世耕氏はコンビニの存在意義を強調する。コンビニの店舗数は全国で5万軒超。食料品や日用品の販売に加え、公共料金の代行収納まで手がけるなど、今や消費者の生活全般において欠かせない存在だ。

 加えて平成29年には災害対策基本法の「指定公共機関」となるなど、災害時に政府の要請に応じた食品や飲料水などを調達し、速やかに被災地へ届ける役割も加わった。また交番が減少傾向にあるなか、深夜にコンビニに駆け込むケースもあるなど地域の防犯にも役立っている。

 今回の問題をきっかけに新規出店制限、加盟店が営業時間を決めるといったFC法ができれば、コンビニの経営自由度が狭まる恐れがあった。世耕氏は「あくまでFC契約に基づいて対応すべき」とし、国による過度な規制に反対の立場を示している。

 一方、公正取引委員会はFC加盟店の24時間営業の見直し要望を本部が一方的に拒否して不利益を与えた場合、独禁法違反の可能性があるとの見解を示す。

 公取委関係者は本部が人件費を補助したり、加盟店料を引き下げたりして「24時間営業を続けられる環境を整えれば、優越的地位の乱用にはあたらない」としているが、オーナー側が弱い立場に変わりはなく、独禁法を適用するかどうか目を光らせていく方針だ。(飯田耕司)

2019年4月25日 22時3分
産経新聞
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