保護猫たちのニャン生 (3)カイル 気弱な一匹オオカミ

 横浜・関内にある保護猫カフェ「ミーシス」は、さまざまな事情で家族の
もとを離れた猫や、路上で生きてきた猫たち24匹が暮らす。「かわいくないから
いらない」と人間の勝手な都合で捨てられた猫や、両目がない状態で保護された子猫−−。
苦境を乗り越え、猫カフェで楽しく暮らす猫たちの素顔を紹介する。


 長い毛が美しいロシアの猫「サイベリアン」がほしいと百貨店の外商に
注文した客がいた。その客は、ほんの数カ月で「甘かみするから、いらない」と
猫を返品。すでに去勢手術も済ませており、ブリーダーに返すこともできない。
行き場をなくして、ミーシスにやってきたのがカイルだ。
店が開業した2009年にやってきて、もう10年になる。

 13年、ロシアのプーチン大統領から秋田県知事に贈られたことで話題に
なった品種。体が大きいから、お客さんに「犬が1匹いますよね?」と
言われたこともあった。見た目は犬、性格は一匹オオカミ。
いつもほかの猫から離れたところで昼寝している。

 気高い見た目とは違って、意外と気が弱い。スタッフがカウンターに出入り
するためのパタパタと開閉するドアが怖くて、自分では開けられない。
ほかの猫たちは自分で入っていくのに、カイルはスタッフが開けてくれるのを
待っている。

 夏になると、長い毛をサマーカットするのが恒例行事。顔回りとしっぽだけ
長く残して、まるでライオンのようになるのがお客さんの楽しみだ。


毎日新聞【中嶋真希】(2019年4月28日 10時00分、最終更新 4月28日 10時34分)
https://mainichi.jp/articles/20190424/k00/00m/040/219000c

キャットカフェ「ミーシス」のカイル=中嶋真希撮影
https://cdn.mainichi.jp/vol1/2019/04/24/20190424k0000m040217000p/9.jpg

顔をこすりつけるカイル=中嶋真希撮影
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