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インク内蔵ハンコの代名詞「シヤチハタ」。名古屋に本社があるこの会社のプレスリリースには毎回、
「社名表記は『シャチハタ』ではなく『シヤチハタ』です」の一文が添えられています。
なぜ「ヤ」が大きいのか?そもそもシヤチハタという名前の由来は? 広報室長に話を聞きました。

■シヤチハタの歴史

シヤチハタの創業は1925年。舟橋商会として名古屋でスタンプ台の製造販売を始めました。
1965年には、スタンプ台なしで押せるインク内蔵のハンコを開発。3年後に、それをネーム印として売り出したところ大人気となり、今に至ります。

そんな会社のプレスリリースには、目立つ位置に毎回「社名表記は『シャチハタ』ではなく『シヤチハタ』です」と書かれています。
なぜ社名は「シヤチハタ」なのか? 広報室長の向井博文さんに尋ねると、こんな答えが返ってきました。

「読み方は『シャチハタ』で問題ありませんが、文字にする場合はロゴとしてバランスを取るために大きな『ヤ』を使用しています」

■キヤノンも同じ理由です

見た目の文字のバランスを考えて「ャ」ではなく「ヤ」を使ったいうシヤチハタ。

カメラなどで知られるキヤノン(東京都)も同様で、ホームページで以下のように説明しています。

「全体の見た目の文字のバランスを考え、きれいに見えるようにしたからなのです。 『キャノン』では、『ャ』の上に空白が出来てしまい、
穴が空いたように感じてしまうので、それを避けたのです」

■社名の由来は鯱鉾

プレスリリースに毎回「ャ」と「ヤ」の違いについて記載している理由について、シヤチハタの向井さんはこう話します。

「読み方がシャチハタなので、その読み方が社名だと認知されている方もいらっしゃいます。正しい社名表記を認知していただくためです」

間違われて困る場面などを尋ねると、「テレビや雑誌で間違った社名表記をされると、広報の立場としてはとても困ります」と苦笑いします。

そもそもシヤチハタという社名は何に由来しているのか?
向井さんは「名古屋城の金の鯱鉾(しゃちほこ)が関係しているんです」と説明します。

■鯱旗→シヤチハタ

特許を取得したスタンプ台を販売するにあたって当初、日の丸を商標として「日の丸印の万年スタンプ台」として売っていましたが、
「日本の国旗を商標に使ってはいけない」と指摘を受けたそうです。

そこで創業者が考えたのが、日の丸の旗の中に名古屋城の金の鯱鉾を納めた「鯱旗印(しやちはたじるし)」でした。
「名古屋発のスタンプ台が日本一になるように」という思いが込められたこの鯱旗が、現在の社名シヤチハタにつながっているそうです。

1969年ごろには、鯱をモチーフとしたものから、大きく翼を広げる大鷲のようなシンボルマークに一新。現在使われているマークは、
1992年に「生活文化価値創造企業」を企業コンセプトとしたのに合わせて変更されました。

「企業ロゴは時代の変遷とともに変わりますが、創業時からのものづくりへの取り組み姿勢は変わりません」と向井さん。

■おまけ

一般に「シヤチハタ」と呼ばれるインク内蔵のネーム印。
役所や銀行への届け出では「シヤチハタ印は不可」などとされているケースを見かけることがあります。
その理由について、向井さんはこう説明します。

「各自治体の印鑑条例や各金融機関のルール等で、『ゴム印その他の印鑑で変形しやすいもの』は印鑑登録不可とされています。
シヤチハタのネーム印は印面がゴムで出来ているので、変形するため登録印として使用できないというのが理由のようです」

シヤチハタのネーム印
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