中小企業中央会の調査で、韓国では零細事業者の3人に1人(33.6%)が過去1年間に休業、廃業を考えたことがあると答えた。実際に廃業しなかった理由については、大半が「売却先がなかったため」と答えた。買い手さえ付いていれば、店を畳んでいたことになる。また、回答者の77%は年初来の売り上げが前年を下回ったと答え、うち24%は売り上げが40%以上激減したと答えた。今後の見通しについても、経営状況がさらに悪化するとの悲観論が59.6%を占めた。経済を末端で支える零細事業者と自営業者が深刻な状況に追い込まれていることを示している。

 昨年10−12月期の所得下位20%の勤労所得は37%減少し、昨年高金利の貸金業者から資金を借り入れた人は412万人に達した。保険契約を解約し、現金を受け取る返戻金の金額は1年間で2兆ウォン(約1900億円)近く増えた。今年1−3月期のクレジットカードの延滞率は大幅に上昇。裁判所への個人再生手続きの申請も1−3月に2万3300人を数え、1年前よりも10%増えた。通貨危機が訪れたわけでもないのに、庶民経済の現場で通貨危機同様の状況が起きている。

 自営業の過当競争やインターネット通販の広がりなど構造的な理由もあるはずだ。しかし、韓国ギャラップが実施した「文在寅(ムン・ジェイン)政権2年の評価」という世論調査によると、国民の62%が政府の経済運営は誤りだったと答えた。本紙が韓国経済研究院と共同で実施した世論調査でも、文在寅政権が発足後、生活ぶりが悪化したとの回答が58.9%に達し、特に自営業者ではその数値が82%を記録した。弱者の財布を満たすとしていた政府がかえって庶民経済を苦境に追い込んでいる。国民は苦しんでいるのに、青瓦台(大統領府)は外部要因のせいにばかりしている。しかし、米国は韓国よりも高い3%の経済成長に加え、半世紀ぶりの低い失業率を記録している。中国も6%台の高成長だった。あらゆることに税金をつぎ込む見せかけの政策を中断し、企業と市場の活力を高める本物の政策を推進しなければ、庶民経済は危機に直面する。

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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