吉川貴盛農相は11日、20カ国・地域(G20)農相会合のために来日したパーデュー米農務長官と新潟市で会談した。トランプ政権発足後、日米の農相会談は初。4月に始まった日米貿易協定交渉を巡り吉川農相は、農産品で「過去の経済連携協定の内容が最大限」とした日米共同声明に沿った交渉の必要性を改めて主張。これに対しパーデュー長官は、早期合意を重視した上で、農産物の市場開放を求めた。

 日米交渉を巡りパーデュー氏はこれまで、農産品の扱いで「環太平洋連携協定(TPP)並みかそれを超える」市場開放や、農業分野の先行合意を期待する発言を繰り返してきた。

 トランプ大統領は4月の日米首脳会談で、TPP発効などによる米国の農産物の輸出環境悪化を念頭に、交渉の早期妥結を強く求めてきた。パーデュー氏も会談で、農家の輸出環境が改善するよう、早期合意への強い意欲を示したとみられる。

 吉川農相は、交渉は茂木敏充経済再生担当相とライトハイザー米通商代表部(USTR)代表で進める枠組みであることも強調。交渉の外で強硬な発言を繰り返してきたパーデュー氏をけん制した格好だ。

 会談は、朝食会形式で約1時間行われた。吉川農相は、東京電力福島第1原子力発電所事故を受けた米国の日本産輸入規制の緩和・撤廃も求めた。

 パーデュー氏は同日、一部記者団の取材に応じ「米国は年間700億ドル(約7兆7000億円)規模の対日貿易赤字を抱え続けている」と述べ、対日貿易赤字を問題視する考えを表明した。米国の対日貿易赤字の8割は自動車・同部品。農業は1兆円以上の黒字だが、日米交渉に関しては「赤字が認識されるべきだ」と訴え、「日米は互恵的な協定に合意できるはず」と述べた。

 吉川農相は同日、シンガポール、カナダ、ドイツなどの農相とも会談。原発事故による輸入規制の緩和や、農畜産物の輸入解禁などを要請した。

http://news.livedoor.com/lite/article_detail/16445882/