夜の政治

7月からの商業捕鯨再開まで1ヵ月を切った。

昨年末、日本政府が商業捕鯨再開を決めたことは、国際機関の国際捕鯨委員会(IWC)からの脱退をともなうものであっただけに、国内外で大きく報道された。一方で、イギリスやオーストラリアなど反捕鯨国からの厳しい批判が予想されたが、日本政府の事前の根回しにより、国際的批判は予想よりはるかに低調なものとなったことはあまり知られていない。

これまでの調査捕鯨の時代は終わる。水産庁は新たな枠組み作りを進めている。

■30年越しの悲願、だが…

日本は1982年の国際捕鯨委員会(IWC)の一時禁止決定を受け、88年以降、商業捕鯨を中断した。それからは、捕鯨再開のための生息数調査など、科学的データ収集のための調査捕鯨を約30年にわたり続けていた。

昨年9月にブラジルで開かれた総会で、日本政府代表団はIWC脱退を示唆。そして日本政府が昨年末に脱退へ踏み切った流れは、現代ビジネス2018年10月23日「もう脱退しかないのか?日本が窮地に陥った『国際捕鯨委員会』の内幕」、12月28日「国際捕鯨委員会脱退を日本政府が決めるまでの『全深層』」ですでに詳しく報じている。

政府が発表した再開後の商業捕鯨の枠組みでは、十分な資源量がすでに確認されているミンククジラなどを対象とし、捕鯨を実施する区域は日本の領海と排他的経済水域(EEZ)内とされている。これまで調査捕鯨を実施してきた南極海と北西太平洋では捕鯨を行わず、南極海では目視調査のみを実施する。

水産庁は現在、捕獲上限枠の算定を進めており、今月半ばをめどに公表する予定だ。IWCとの関係は、科学委員会などにオブザーバーとして出席を続けることで維持していく。

商業捕鯨再開については、約30年越しの「悲願」と捕鯨関係者からは歓喜の声が上がる一方、捕鯨問題に長年携わってきた自民議員からは、捕獲可能な海域が狭まったことについての不満も出ている。

商業捕鯨再開が決まった直後の昨年12月26日に自民党本部で開かれた捕鯨議員連盟の会合では、議連会長の鈴木俊一五輪担当相が「苦渋の決断であり、全面再開でなく、当初目指していたものとは違う」と悔しさをにじませた。捕鯨対策特別委員会顧問の二階俊博自民幹事長も「惨敗だ。このままで引き下がるつもりはない」と、商業捕鯨の全面再開に向けて政府にプレッシャーをかけた。

■「国際的批判」の実態

今回、日本のIWC脱退に関して、国内の主要メディアは「国際的批判が予想される」と報道した。では、実際の海外の反応はどうだったのだろうか。主な反捕鯨国の政府公式見解から見てみよう。

反捕鯨最強硬派の豪州政府は「脱退決定は遺憾。同条約及び同委員会への復帰を優先事項として要請する」とした上で、「南氷洋の捕鯨を止めるのを歓迎する」とした。米国は現時点で声明を出していない。英国は「脱退に極めて失望した」と、従来通りの商業捕鯨反対の立場を表明した。

続きはソースで
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/65007