猫の島に深刻な現実 ねこ図鑑でえさ代捻出 大分・深島
毎日新聞 2019年6月15日 14時53分(最終更新 6月15日 14時54分)

https://i.imgur.com/vTVUzPC.jpg
深島の猫=佐伯市観光協会提供

 「猫の島」として、猫好きに人気の大分県佐伯市・深島に暮らす猫81匹を網羅した「深島ねこ図鑑」(1200円、税別)が、佐伯市観光協会から出版された。島民は全ての猫に名前をつけて、えさを与えているが、実は人口減少や高齢化で島民の負担が増えている。図鑑は、そうした深島の現状を知ってもらうのが目的という。

 深島には昭和初期には漁業に携わる人を中心に約200人が暮らしていたが、今は19人。大半が年金暮らしの高齢者だ。

 深島の猫が注目されだしたのは、「猫の島」として数年前にテレビで取り上げられたのがきっかけだった。週末には1日に3便ある定期船が満員になるほど、猫好きが訪れる島となった。

https://i.imgur.com/hZJ0h4F.jpg
深島で暮らす猫を網羅した「深島ねこ図鑑」=大分県佐伯市中村南町の佐伯市役所で、2019年5月21日午前11時9分、衞衛藤撮影

 しかし、深島の猫の生活環境は必ずしも良くはない。観光協会によると、飼い猫の平均寿命は10年を超えるが、屋外で暮らす深島の猫は一般的な野良猫並みの3、4年ほど。また、島という閉ざされた環境のため、近親交配が進むせいで虚弱な猫が少なくないという。

 観光協会は島民と協議し、島民が負担している猫のえさ代や治療費などを捻出する方法を検討。深島の現状を知ってもらうために図鑑を作って販売し、その売り上げの一部を充てることにした。

 1000部を印刷し、同市役所2階の観光協会と同市駅前の佐伯市観光案内所で販売している。問い合わせは同案内所(※電話番号省略)【衛藤親】