◆ 腸内細菌が薬を食べてしまう。薬効成分が腸内細菌により台無しにされることがあるという研究結果(米研究)

治療や症状を止める時に使用される薬は、注射や点滴、皮膚に塗ったりと様々な使用法があるが、もっとも一般的なのは口から飲む方法だろう。
口から入れた薬は胃を通過し腸に入る。

だがそこで問題が生じるようだ。
アメリカ・ハーバード大学の研究によると、腸内細菌がはせっかく飲んだ薬を食べてしまい、その効果を台無しにしてしまうことがあるそうだ。

近年、腸内細菌は人が健康を維持する上で決定的に重要な役割を担っていることがわかってきている。
あなたが大好物のお料理をぺろりと平らげた後、消化器官に流れ込んできた食材を分解し、体が必要とする栄養素に変える役割は、お腹の中に潜んでいる数兆という細菌が担っている。
それだけでなく、腸内細菌は感情や気分にも影響を与えるほどで、文字通り人の心身の健康を支える大切な存在だ。

■ 腸内細菌は薬効成分にまで関与する

だが、この驚くべき進化の賜物が、体の中に入ってきた薬に対しても影響を与えてしまうことがある。
要するに、腸内細菌は体内に入ってきた薬を食べちゃうことがあり、薬がちっとも効かなくなってしまうばかりか、場合によっては健康に害を与えることすらあるということだ。

■ パーキンソン病の薬「レボドパ」が効かない理由

研究著者のマイニ・レクダル氏らが取り上げたのは、パーキンソン病の薬である「レボドパ」だ。
パーキンソン病は、脳内の神経伝達物質ドーパミンを作り出す神経細胞を攻撃し、そのせいで体が震えたり、筋肉が硬直したりしてしまう病気だ。
そこでレボドパは脳にドーパミンを送り届け、症状を緩和しようとする。

ところがレボドパが1960年代に販売されて以来、薬がお腹の中の酵素によって分解されてしまい、脳までほとんど届かないことが知られていた。
なにしろ、きちんと脳まで届くのは薬のたったの1〜5パーセントでしかないのだ。
そこで「カルビドパ」というレボドパの分解を防ぐ薬と一緒に服用することで、どうにか治療効果を得るというのが現状だった。

■ 体内で分解されることの副作用

しかし、薬を分解してしまう代謝についてはまだまだわかっていないことが多く、しかも個人差がある。
そして、これがとても厄介なのだ。

たとえばレポドパの場合、効きにくい人がいるというだけでなく、脳の外でドーパミンに転換されてしまうと、ひどい胃腸障害や不整脈を引き起こしたりと副作用が現れることがある。
治療効果を得られるどころか、かえって体調を崩す羽目になってしまうのだ。

過去の研究では、抗生物質を投与するとレボドパの効果が向上したために、おそらく効き目の個人差は腸内細菌が原因ではないかと推測されていた。
だが、いったい無数にある細菌のどれが薬を食べてしまっているのかは不明だった。

■ 腸内細菌が薬を食べている証拠が発見される

その犯人発見の手がかりとなったのは、L-ドーパ(=レボドパ)をドーパミンに転換するという珍しい化学的能力だ。
こんなことができる細菌酵素はほとんどない。

一方、「チロシン」というL-ドーパに似たアミノ酸と結びつくものなら結構いる。
その中で、チロシンとL-ドーパの両方に結びつくことができるのは、牛乳やピクルスでよく見られる細菌の「ラクトバチルス・ブレビス」だけだ。

レクダル氏らは、ヒト・マイクロバイオーム・プロジェクトを参考に、似たような酵素を作り出せるDNAを持つ腸内細菌がいないか調査。
いくつか候補が発見されたが、毎回すべてのL-ドーパを食べるのは「エンテロコッカス・フェカーリス」だけだった。
こうして世界で初めて、エンテロコッカス・フェカーリスとその酵素である「PLP依存性チロシンデカルボキシラーゼ」がL-ドーパ代謝と関連しているという証拠が発見された。

※続きは下記のソースでご覧ください

カラパイア 2019年06月24日
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