富士山の麓にある河口湖(山梨県富士河口湖町)で、いつもは湖面に浮かんでいる島が、湖岸と地続きになっている。

 島には日蓮にちなむ史跡「六角堂」があり、観光客らは「海が割れるようだ」と歩いて渡っている。近年、水位の低下で夏場に地続きになることがあり、ネット上では富士山の火山活動と関係しているのではという憶測もあるが、専門家は否定的だ。(渡辺浩)

 レガッタ中止の恐れ

 島には鎌倉時代の文永11(1274)年に日蓮の弟子たちによって建立されたお堂があったが、室町時代に洪水で流されたという。富士河口湖町は平成6年、跡地に六角堂を建てた。

 県治水課によると、河口湖の6〜10月の水位の目安は基準水位のマイナス1・5メートルだが、昨年10月に台風24号が県内を通過した際にマイナス0・75メートルに上昇したため、水位の調整で湖水を放出した。しかし、その後も水位は徐々に低下し続け、今年4月に島が地続きになった。現在の水位はマイナス2・9メートル前後になっている。

 地続きになったことで、普段は船でしか行けない六角堂が観光スポットになる一方で、悪影響も出ている。

 コイやフナの産卵場所である浅瀬がなくなることが心配されているほか、ボートの桟橋が使えないため8月31日と9月1日に予定されている競技大会「河口湖レガッタ」の開催が危ぶまれている。

 県ボート協会の事務局担当者は「桟橋を延ばすなどの対策が考えられるが、今年の大会には間に合わない。何とか水位が上がってほしい」と話している。

 少雨が原因か

 河口湖の水は富士山の地下水が湧き出たとかつては考えられてきたが、湖水を調べたところ、湧き水に含まれるミネラルであるバナジウムが少ないため、雨水や雪解け水とみられる。

 また、湖面のあぶくが火山性のガスではといわれたこともあったが、ヘドロからのメタンガスと分かった。

 河口湖の研究を続けている県富士山科学研究所の内山高専門員は「水位の低下は雪や雨が少なかったことと、晴れの日が多く湖水が蒸発したため。富士山の火山活動が関係している可能性は低い」と説明する。

 甲府地方気象台によると、1〜5月の河口湖の降水量は333ミリで、平年の439・6ミリを大幅に下回っていた。

 ただ、内山専門員はこう付け加えた。「河口湖の水位低下とは別に、富士山の噴火には常に備えが必要です」

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