2019年06月29日23時48分
日本政府高官は29日、日米安全保障条約見直しの必要性を安倍晋三首相に直接伝えたとするトランプ米大統領の説明について、事実関係を否定した。政府はトランプ氏がインタビューなどで不満を漏らす背景には、条約内容に関する正確な理解が欠けていることがあるとみている。このため、条約について詳しく説明し、理解を求めていく方針だ。

政府高官は、28日の日米首脳会談も含め、これまでトランプ氏から不満を伝えられたことはないと説明。「トランプ氏は条約内容を分かっておらず、米国は日本を守るのに、なぜ日本は米国を守らないのかという素朴な疑問を持っているようだ」と指摘した。首相はトランプ氏側によく説明するよう事務方に指示しているという。

野上浩太郎官房副長官は29日、記者団に対し、28日の日米首脳会談でトランプ氏から日米安保条約見直しに関する言及は「一切なかった」と説明。「日米政府間で、同条約の見直しの話は一切なく、米大統領府とも確認している」と語った。ただ、28日の会談以前に言及があったかは「首脳間のやりとりを明らかにすることは差し控えたい」と述べるにとどめた。
 日米安保条約は米国の対日防衛義務を定める一方、米国に日本国内の施設・区域の使用を認めている。日本政府は「日米双方の義務のバランスは取られており、片務的との指摘は当たらない」(菅義偉官房長官)との立場を取っている。

https://www.jiji.com/sp/article?k=2019062900607&;g=pol