NPO法人全国こども食堂支援センター・むすびえは26日、子どもらに食事や居場所を提供する子ども食堂の全国の設置数が2019年は3718カ所となり、前年比1・6倍に増加したと発表した。46都道府県で増加し、都会だけでなく、地方でも急速に設置が広がっている。同センターは「行政や社会福祉協議会などのバックアップ体制が整いつつあり、設置数が増えている」と分析する。

 前回調査の18年と比べ1432カ所増加した。増加率を都道府県別で見ると、長崎県が最大で228・6%。次いで茨城(226・3%)、福島県(215・4%)。2倍以上増えたのは10県(青森、埼玉、新潟、石川、岐阜、愛知、兵庫、広島、山口、徳島)。地方の自治体で大きく増えていた。

 同センターによると全ての子どもが利用できるようになるには、小学校区単位で子ども食堂があることが望ましいという。子ども食堂数を小学校数で割った値を充足率としたところ、最高は沖縄県の60・5%、次いで滋賀県(52・5%)、東京都(36・6%)、鳥取県(35・2%)となった。

 今後の広がりに向け、同センターは食材保管設備の確保と、食材の寄付と需要をマッチングする仕組みの必要性を指摘する。同センターの湯浅誠理事長(東京大学特任教授)は「農作物の寄付をたくさんもらっているという声は多い。だが、子ども食堂は食材の保管設備を持っている所が少なく、業務用の冷蔵庫を買う資金も場所もなかったりする」と指摘。それらの理由で寄付を受け付けていない食堂もあるという。今後は「寄付と需要のマッチングシステムを作ることが喫緊の課題だ」と提起する。

子ども食堂 全国で拡大 地域の拠点に JAと連携を 

 都会だけでなく農村部にも子ども食堂が増えてきたことが26日、「全国こども食堂支援センター・むすびえ」の調査で分かった。参加人数や開催日など規模はさまざまで、地域のにぎわいの拠点にもなっている食堂もある。農家やJAが多様な形で活動を支える動きも定着してきた。子ども食堂の運営者らは農家やJAに「顔の見える関係を築いて運営に協力してほしい」と呼び掛ける。
食材寄付や調理農家の支援定着 

 6月下旬、大津市の「ぜぜこども食堂」。夕食を手作りする地元農家や主婦らの女性と、子どもたちや親がにぎやかに集う。運営するのは、元教諭の西田賢一さん(69)ら地域の有志だ。「子どもの貧困対策だけでなく、保護者の息抜きにも、集まりが少なくなった地域がわいわいする場にもなっている」と西田さん。2017年に、子どもの貧困に対して支援したいと仲間と立ち上げた。
 運営メンバーは全員ボランティア。月1回の開催で食費は8000円、参加者は30人程度。滋賀県社会福祉協議会を通じてJA滋賀中央会などから農作物や商品券の提供があったり、近隣の農家から農作物を支援してもらったりして賄う。

 料理を作る農家の横江美知子さん(70)は、提供された米の保管も担う。食堂で提供するメニューを聞いて、使う野菜を持ち込むこともある。「無理ない範囲で、できることをやっているだけ。子どもが好きなので楽しい」と話す。西田さんは「多くの農作物をもらっても、小さな規模なので余らせてしまうと申し訳ない。顔の見える関係での支援がありがたい」と考える。

 県社協は昨年、「子ども食堂つながりネットワークSHIGA」を発足した。現在、ぜぜこども食堂も含め107の子ども食堂が加盟する。研修会や交流会を催し、支援物資の調整なども担う。スポンサーにはJA中央会やJAバンク滋賀信連や民間企業などが登録し、活動を応援する。県社協によると、農作物の寄付だけでなく、食育体験に畑を貸す動きも広がっているという。

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