https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190706-00010005-giz-sci
 海のサメや日焼けなんか怖くないという人でも、この事実にはビビるかもしれません。
先日発表されたある研究によれば、たった10分海で泳ぐだけで、人の皮膚を覆う細菌の構成はガラリと変わってしまうんだとか。
それは必ずしも悪いことではありませんが、中には病気を引き起こしたり、マイクロバイオームと呼ばれる皮膚の繊細な細菌環境を乱して
感染のリスクを高めたりする細菌もいます。

■皮膚を海で泳いだ前後で比べてみた
 この奇妙な研究のため、カリフォルニア大学アーバイン校の研究者たちはビーチに赴き、数人の海水浴客を採用。
彼らは海水浴をするのは稀で、日焼け止めを使用せず、さらに12時間以内には入浴しておらず、過去6ヶ月間は抗生物質を使っていない人たちでした。
採用された9人のボランティアは泳ぐ前にふくらはぎの裏側から皮膚の標本を採取され、10分の海水浴に出かけました。
彼らは戻ってきて体を完全に乾かした後に再び皮膚は採取され、6時間後と1日後にも採取されたのです。
各ボランティアのマイクロバイオームは、海で泳ぐ前はそれぞれ違っており、簡単に見分けが付きました。
しかし、海水浴直後、彼らのマイクロバイオームは互いに似通ったものへと変化したのです。

■皮膚にいる細菌が変化する
 論文の主著者でカリフォルニア大学アーバイン校の博士過程の学生であるMarisa Chattman Nielsen氏はプレスリリースで
「泳いでいる間に常在細菌は洗い流され、海の細菌は皮膚に堆積していった」と語っています。

マイクロバイオームへの変化は一時的なものであり、ほとんどが24時間以内に元の状態に戻りました。
しかし、気になる結果もありました。全員からビブリオ菌という海に存在する細菌を検出したのです。
ビブリオ菌の多くは基本的には無害ですが、コレラといった感染症の原因となるものや、特に免疫系が弱った人においてまれに
創傷感染を引き起こすものがあります。
チームの手法ではビブリオ属の細菌が存在していると識別できるのみで、その特定の種類まではわかりませんでした。
しかし、チームが検査した周囲の海水よりも高い割合のビブリオ属の細菌がボランティアの皮膚上で見つかったことから、
それらは人間の皮膚に引き付けられていたようなのです。
Nielsen氏はいわく、
「多くのビブリオ属は病原にはならないが、泳いだ後の皮膚から再び発見されたという事実は、病原性のビブリオ属は泳いだ後に残存する可能性があると示している」
とのこと。

■海水浴の後はシャワーを忘れずに
 この実験の結果はアメリカ微生物学会の年次会議で発表されました。
未完成ではあるもののこの研究は、海水浴客の中で砂浜にいた人よりも海で泳いだ人の方が、その後に腹痛や耳の感染症といった
体調不良になりやすいという十分な裏付けがあるパターンの説明に役立つかもしれません。
その責任の大半は私たちの体内に侵入する微生物(主に糞からの)のせいにできますが、研究チームは海の細菌全体も
皮膚のマイクロバイオームへ影響を通じて病気を起こしやすくしていると疑っています。

Nielsen氏は、
「最近の研究は人間の皮膚マイクロバイオームが免疫系、限局性と全身性疾患そして感染において重要な役割を果たすと示してきた」と言います。
「健康的なマイクロバイオームは宿主を日和見そして病原性の細菌の定着と感染から守る」とのこと 。
これからの季節、海に行く際は海水浴の後のシャワーと、海水を口に入れないことを徹底しましょう。