宗次徳二(カレーハウスCoCo壱番屋の創業者)
https://www.munetsugu.jp/

「戸籍上は石川県生まれですが、両親が誰なのかはわかりません。
兵庫の孤児院で育ち、3歳の時に雑貨商を営む夫婦に引き取られました。
ところが養父がギャンブル(競輪)にはまって財産をなくし、夜逃げするように岡山に移ったんです」

---電気すらない生活だったとか。
「岡山でも養父のギャンブル熱は収まらず、業を煮やした養母が家を出てしまったんです。
アパートの家賃も払えず、廃屋を転々としながら電気も水道もない生活が何年も続きました」

---つらくなかったのか。
「泣いてる余裕もない。学校から家に帰ると、養父の帰りを待ちながら、
ローソクの灯りで掃除や炊事をするのが私の仕事でした」

---養父を嫌いにならなかったんですか。
「大好きでした。年に一度だけ、職安でもらう年末一時金で私の大好きなリンゴを二つ、
お土産に買ってきてくれる。あのリンゴの味は格別でした」

---この頃の経験は、間違いなく宗次氏の人格形成の背骨となっている。
ほぼ毎日、名古屋・栄の街を早朝、掃除する。花を植える。雪の日も嵐の日も。

「お金を自分のために使うのは恥ずかしくてできません。贅沢もしたくないし、しません。
時計は9800円、シャツは980円。
自宅は接待用に少し大きなものを建てたのですが、それも恥ずかしいことです」