https://www3.nhk.or.jp/news/html/20190710/k10011988201000.html

日本の探査機「はやぶさ2」は、世界初となる小惑星内部の岩石採取を目指して10日午前、
小惑星「リュウグウ」に向けて降下を開始する予定です。順調にいけば11日午前10時すぎに
小惑星表面につくった人工クレーターの近くに着陸する計画です。

「はやぶさ2」はことし4月、小惑星に金属の塊を衝突させ、人工クレーターをつくることに成功し、JAXA=宇宙航空研究開発機構は
このクレーターの近くに着陸を行って噴き出した小惑星内部の岩石を採取する世界初のミッションに挑みます。

機体や地上の設備などに問題がなければ、「はやぶさ2」は10日午前10時46分ごろ、
高度2万メートルから小惑星「リュウグウ」に向けて降下を開始します。

そして、人が歩く速度よりも遅い、ゆっくりとしたスピードで高度を下げていき、順調にいけば11日午前10時5分ごろに着陸を実施する計画です。

「はやぶさ2」はことし2月、「リュウグウ」へ最初の着陸を実施し、表面の岩石採取に成功したとみられています。

今回採取を目指す内部の岩石は、宇宙を飛び交う放射線などの影響をあまり受けていないことから、
太陽系が誕生したころの状態をよりとどめていると考えられていて、生命の起源や太陽系誕生の謎の解明が期待されます。

着陸する地点は、探査機が接触すると機体を傷つけるおそれがある大きな岩石がない、直径7メートルほどの狭いエリアで、
JAXAでは1回目に続き今回も、高度な機体誘導の技術が求められる難しいミッションになるとしています。

■着陸地点は直径約7メートル

「はやぶさ2」が世界初となる小惑星内部の岩石採取を目指して着陸するのは、「C01ーCb」と名付けられた
小惑星リュウグウの赤道の少し北側のエリアです。

このエリアの広さは直径7メートルほどで、「はやぶさ2」が撮影した画像などを分析した結果、接触して機体を傷つけるおそれのある、
高さが70センチを超える岩石はないことがわかっています。

着陸を目指すエリアは、ことし4月に金属の塊を衝突させてつくった人工クレーターの中心からの距離がおよそ20メートルと近く、
クレーターから飛び散った岩石がおよそ1センチの厚さで降り積もっていると考えられています。

「はやぶさ2」は、エリアの中心から2メートル60センチ離れたところに事前に直径10センチほどのボール状の「ターゲットマーカ」を
投下していて、これを目印にして、機体を自律的に誘導し、着陸することになっています。

■着陸までの流れは

日本の探査機「はやぶさ2」は以下の手順で小惑星「リュウグウ」に世界初となる小惑星内部の岩石採取を目指して着陸する予定です。

着陸の前日、今月10日に地上の管制チームが「はやぶさ2」の状態などを確認して、問題ないと判断すると、小惑星上空で待機している
「はやぶさ2」に降下開始の信号を送ります。

そして日本時間の10日午前10時46分ごろ、「はやぶさ2」は高度2万メートルから小惑星に向けて降下を開始します。

降下を始めると、探査機から10分おきに送られてくる小惑星の画像を基に軌道のずれを計算し、地上から信号を送って修正する作業を繰り返します。

降下の速度は人が歩く速さよりも遅い、秒速40センチでゆっくりと高度を下げていきます。

10日午後9時6分ごろ、高度5000メートル付近に到達すると、「はやぶさ2」はスピードを秒速10センチに落とします。

さらに降下を続け、翌日、高度500メートル付近に到達すると、管制チームの責任者が着陸の最終的な判断を行います。
これが11日午前8時41分ごろです。

問題がないと判断されると、探査機の降下は継続され、ここからは地球からの指令を受けず、「はやぶさ2」自体が
着陸を判断する自律制御に切り替わり、運用は最終局面を迎えます。

そして午前9時40分ごろには、小惑星から30メートルの高さまで接近し、センサーとカメラで地表を正確にとらえ、
スラスターと呼ばれるガスを噴射する装置で、細かく姿勢を制御する運用に入ります。

ここからは事前に地表に投下した「ターゲットマーカ」と呼ばれる光を反射するボール状の目印をカメラで補足して、
これを基準にして着陸地点へ接近します。

そして、高度8.5メートルまで降下すると、着陸地点の傾斜に合わせて探査機の姿勢を傾けながら、水平に移動して着陸地点の真上にきます。

その後まっすぐ地表に向かって降下し、11日午前10時5分ごろに「リュウグウ」に着陸する計画です。