南シナ海に米空母が展開できなくなる日は近い
中国の対艦弾道ミサイル発射訓練は南シナ海支配の最終段階
JBpress 2019.8.9(金)軍事情報戦略研究所朝鮮半島分析チーム
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/57252

南シナ海をパトロールする米空母ロナルド・レーガンに発着する「E-2ホークアイ」(2019年8月6日、写真:AP/アフロ)
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 南シナ海は、世界の海上輸送量の3分の1が通過する海域であり、戦略的に重要な位置を占めている。

(略)

 そして、南シナ海での中国の動きに対し、牽制策についての一案を述べる。

●1.対艦弾道ミサイルを移動目標に命中させられるのか、そのポイントは

(略)

●2.洋上移動目標の未来予測位置の正確な算定が命中を左右する

 それぞれの段階における目標位置入手手段およびその能力、特色は次の表のとおりである。
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(略)

●3.なぜ南シナ海に、なぜ6発連続発射したのか

図 中国対艦弾道ミサイル発射予想地域
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(略)

 弾道ミサイルを一つの目標に向けて複数発発射するのは、相手の対応能力をオーバーフローさせ、残った複数発のうち1発でも命中させることを狙っている。

 2017年3月に北朝鮮が「スカッドER」を4発発射した際、我が国の対応能力を超えるのではと話題になったことは記憶に新しい。

 今回の南シナ海での対艦弾道ミサイル発射試験は、南シナ海における中国の先制攻撃能力を向上させるものであり、特に南シナ海を航行する米空母機動部隊にとって大きな脅威となりつつあることを証明した。

 一方、対艦弾道ミサイルは最終的には自ら装備したシーカーにより目標を捜索するため、速力を一定程度落とさなければならないのではないかと推定できる。

 ここに当該対艦弾道ミサイルの迎撃のチャンスが生まれる。

 米海軍が「SM-6」対空ミサイルの装備化を進めているのは、アクティブミサイル化により、水平線外の巡航ミサイルなどだけではなく、中国の対艦弾道ミサイルにも対応できるからであろう。

●4.南シナ海を中国の海とさせないために

(略)

 このため米海軍が「航行の自由」を旗印に空母機動部隊を南シナ海に展開した場合、常時、対艦弾道ミサイルの脅威にさらされることとなる。

 対艦弾道ミサイルの影響下にあるというだけで、米中間で緊張が高まってきた際に、米国としては虎の子の空母を南シナ海に展開することを躊躇することになるであろう。

 このような中国による南シナ海支配の進展にどのように対応すべきであろうか。

 かつて欧州においてソ連中距離弾道ミサイル「SS-20」が大きな脅威であった際、欧州は米国「パーシングU」中距離弾道ミサイルを配備し、これと均衡を図った。

 そしてその均衡を背景に米ソは「中距離核戦力全廃条約(INF)」を締結、射程500キロから5500キロまでの核を搭載する地上発射型弾道および巡航ミサイルが廃棄された。

(略)

 今回の対艦弾道ミサイルの発射試験は、空母「遼寧」の南シナ海展開に加え、中国による南シナ海支配の強化が一段と進んだことを示しており、日本の安全保障に極めて大きな影響を与えるものと言える。

 南シナ海の中国支配は中国の思惑通りに進んでいるという危機感を関係国で共有し、多国間の枠組みで、これを阻止していく試みが必要である。


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