茨城県守谷市の高速道路で起きたあおり運転事件では、事態の一部始終をとらえたドライブレコーダーの映像が話題となった。この際、被害にあった車にガラケーを向けて撮影している女性に関するデマがネット上で広まった。

ネット上では8月16日に男性が指名手配され、氏名が明らかになった後から、車に同乗していた女性を特定する動きが加速。男性がインスタグラムでフォローしており、映像の女性とサングラスや服装が似ているという理由だけで、別の会社役員の女性が「ガラケー女」とデマを流された。

こうしたデマに対し、間違われた女性と代理人の小沢一仁弁護士は8月18日、「情報は全く事実無根のもの」と声明文を発表。小沢弁護士の元にはデマを拡散した人から20数件の「謝罪メール」も届いている。

「正義感に基づくものだとしても、安易なデマ拡散は違法行為になりうる。ネット上の根拠のない情報を信じ込んで拡散する前に、よく考えてほしい」と話す小沢弁護士に、今回のデマ拡散の経緯とあいまいな情報を拡散する法的リスクについて聞いた。(編集部・出口絢)

●デマの発端はツイート

ーーデマの発端は何でしたか

デマの発端は、8月17日早朝に呟かれたツイートでした。

17日午前4時ころ、女性のインスタグラムのスクリーンショットと共に「#ガラケー女 ●●(女性のフルネーム)」と呟くツイートがありました。

また、その後、同じく女性のインスタグラムから転載した顔写真と共に「あおり運転 指名手配犯 ガラケー女 ●●(女性のフルネーム) 拡散希望」といったつぶやきがありました。

デマはどんどん広がっていき、朝起きて事態に気付いた女性は17日午前7時、自身のFacebookに「起きたら犯罪者扱いされててびっくりですが完全に事実と異なりますので無視してください」と投稿しています。

女性が17日朝に自身のFacebookにした投稿
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その後も、女性が代表を務める会社には電話が相次ぎ、女性のフルネームはツイッターのトレンドにも入りました。また、女性のインスタグラムには「捕まれBBA」「ガラケーババア」「反省して出頭してください」などの誹謗中傷が殺到しました。

女性のインスタグラムのコメント欄に殺到した誹謗中傷(代理人提供)
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17日午前に女性から相談を受け、まずは警察に相談に行くこと、そしてデマを否定する声明文を出すことを提案しました。

ーーこうしたデマが拡散した場合、当事者から情報発信することが有効ですか

間違った情報が流れて炎上状態になっているときに、当事者から正式なものとしてリリースを出すことには一定の効果があると考えます。特に、今回のように明らかに間違っている情報の訂正は、原則として早めに行った方が良いと思います。

一方で、炎上している状態では、正式なリリースをしても、かえって火に油を注ぐ結果にもなりえるので、ネット上の論調の流れをまめにチェックして、タイミングを計ることも状況に応じて必要だと思います。

●女性がFBで否定後、潮目が変わる

ーー女性がFacebookで否定した後も、デマは拡散し続けたのですか

それまで罵詈雑言一色だったものが、17日昼過ぎごろから次第にネット上の論調が変わり始めました。

本人が否定している上、そもそも女性を同乗していた女性だとする根拠が「サングラスが似ている」「鼻やあごの形が似ている」「着ている服が似ている」と極めて薄弱であることに気づく人が増えてきたのでしょう。

そこから「人違いだったら大変ですよ」という警告するようなツイートが増え、夕方くらいまでには「デマだ」という声が大きくなっていきました。

ーーデマが拡散してからデマを否定する声明文を掲載するまで1日ほどと、非常に早い対応でした

以下ソース先で

●デマ拡散の法的問題
●被害者の救済、高いハードル

2019年08月20日 15時21分 弁護士ドットコムニュース
https://www.bengo4.com/c_23/n_10031/