エフエム東京 デジタル放送子会社巡り不正会計

エフエム東京(東京・千代田)は21日、2017年3月期〜19年3月期連結決算に関連し、デジタルで放送するラジオ事業で生じた赤字を隠す目的で、損失を抱えた子会社を連結決算から外す不正な株取引をしていたと発表した。

調査していた第三者委員会は報告書で「株式異動は実態を欠く」として同子会社を連結対象として決算に組み込むよう求めた。

不正会計の対象は赤字が続いていたデジタル放送事業「i-dio」を手がける子会社「TOKYO SMARTCAST(TS)」。

第三者委は当時エフエム東京社長を務めていた千代勝美氏が知人の企業にTS社の株式を購入してもらい、エフエム東京のTS社の持ち株比率を下げ、連結対象から外していたと認定した。

報告書ではTS社の株式を購入した3カ月後にエフエム東京の別の子会社が一部のTS社株を買い戻しているほか、TS社の取締役の過半数をエフエム東京やグループ会社の役職者で占めているため、

連結子会社と認定した。エフエム東京は修正した過年度と19年3月期の連結決算を9月下旬をめどに公表する予定だ。

i-dioはテレビ放送の地上デジタル化で空いた周波数帯の一部を使ったデジタル方式の新しい放送サービスだ。

16年にサービスを始めたものの、利用者数が低迷し赤字が続いていた。

第三者委は今回の不正な会計処理は、i-dio事業の赤字について社外取締役や株主から経営陣の責任が問われることを避ける狙いがあったとしている。

同社は6月の株主総会で千代前社長ら不正会計に関わった役員を退任させた。

今後は旧経営陣への損害賠償訴訟も検討する。同日、東京都内で記者会見した黒坂修社長は「公共性の高い放送事業者としてあってはならない。

心より深くおわび申し上げる」と謝罪した。

同社は5月に過年度を含む決算において、連結対象の範囲について会計上・内部統制上の問題があったと発表した。

5月末に予定していた決算発表を延期し、第三者委を通じ、調査していた。

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https://www.nikkei.com/article/DGXMZO48816940R20C19A8TJ1000/