「元同級生の姿にむなしさ」 大津いじめ訴訟の控訴審始まる

 大津市で2011年に市立中2年の男子生徒=当時(13)=が自殺したのは元同級生によるいじめが原因として、遺族が元同級生らに計約3800万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審第1回口頭弁論が23日、大阪高裁(佐村浩之裁判長)で開かれた。

 控訴した元同級生側は、男子生徒への一連の行為はいじめと認定するべきではなく、自殺との因果関係もないと主張し、一審判決の取り消しを求めた。一方、遺族側は一審判決の正当性を訴えた。男子生徒の父親(54)は意見陳述で「息子が受けた苦痛から目をそらそうとする元同級生の姿にむなしさと悲しさが募るばかり。猛省し更正する機会になる判断が下されることを期待する」と述べた。

 閉廷後、記者会見した父親は「控訴理由書を見る限り、到底自分たちの起こした事実と向き合っているように思えない。成人なので、自分の考えで悪いことをした、と認識してほしかった」と心境を語った。裁判の長期化については「時間がかかってもいじめが自殺につながるという司法判断がされることが重要。教育現場の意識改革にもつながるはずだ」と強調した。

 今年2月の大津地裁の判決では、自殺といじめの因果関係を認め、悪質ないじめが自殺に結び付くことは一般的に予見可能であるとし、元同級生3人のうち2人に対し、計約3750万円の支払いを命じた。支払いを命じられた2人が控訴した。

大津市の中2自殺事件を巡る損害賠償請求訴訟の経緯
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2019年08月23日 18時00分 京都新聞