5年ほど前に、自転車用のスマート・ヘルメット「MindRider」が開発され話題になった。
乗り手がリラックスしている時や神経を使った時に、ヘルメット内に埋め込まれたセンサーが脳内の電気信号を測定。
その記録データを専用のスマホアプリに転送し、GPSによってマッピングしていくことで、安全でストレスのない走行ルートが浮かび上がってくるという、まさに新境地開拓アイテムだ。

実はこの「人の心(脳波)を読み取るスマート・ヘルメット」は、アメリカのフォード・モーターのレーシング部門「フォード・パフォーマンス」により、レーシングヘルメットとしても開発されている。
既に、このヘルメットは世界ラリー選手権や世界ツーリングカー選手権においても、プロのレーサーたちが着用しており、今後のスポーツ界における新境地への重要な一歩といえるようだ。

▼動画
https://youtu.be/hjCsxRhHH4k

レース時のドライバーたちは、最高のパフォーマンスを常に頂点に確保するため、生体認証(人間の肉体の特徴を読み取り、登録してあるものと照合するシステム)が秒速でモニタリングされている。
レーシングカーの開発を頻繁に手掛けるフォード・モーターの「フォード・パフォーマンス」は、テクノロジーパートナーUNIT9とキングス・カレッジ・ロンドンとの共同実験を発表した。
レーサーやプロのアスリートたちが使用するメンタルトレーニングテクニック(呼吸瞑想と視覚化)が、脳のパフォーマンスにどのように影響するかということを調べることが目的だ。

測定には、ドライバーの脳の活性化を読み取るスマート・ヘルメットを使用。
これは、脳から電気的活動が読み取れるEEG(脳波記録)ヘッドセットを含んだ、いわば改造ヘルメットだが、FIA(国際自動車連盟)承認済みのものである。
実験チームは、EEGを使用してレーストラックのメンタルマップを作成し、ハイプレッシャーの状況にあるドライバーの運転時の集中力と精神レベルを測定。

ヘルメット内に設置されたEEGは、ドライバーの脳内データを読み取り、外部のハードウェアに記録していく。
脳波計のヘッドギアが運転中に脳の活動をモニタリングし、その情報を洞察に変換することで、ドライバーはレーストラック内での最高のパフォーマンスを通知し、確保。

そうするとベストな運転方法が改善でき、より多くのレースに勝つことができるというわけだ。
また実験では、レーサーは試合中常に「オン」の状態、つまり精神力と集中力を極限に保ち、注意散漫を避けるという能力においては、通常のドライバーよりも最大40%も優れていることが判明した。

この脳スキャンヘルメットは、今後のスポーツ界において精神探求という研究の画期的な中心となり、新境地への第一歩となるようだ。 
なお、フォードの「Psychology of Performance」の調査では、世界ツーリングカーのチャンピオン、アンディ・プリウォール選手や、世界ラリー選手権レーサーのセバスチャン・オジェ選手は、既にこのスマート・ヘルメットを装着しているという。

http://karapaia.com/archives/52278890.html