【シリコンバレー=中西豊紀】米フェイスブックは5日、同社のソーシャルネットワーク(SNS)機能を使って恋人探しができるデートサービスを米国などで始めたと発表した。趣味や考え方が合いそうな他人同士をSNSユーザー網の中から見つけだして結びつける。個人情報の扱い不備で批判にさらされる同社だが、個人情報を生かした事業拡大にはなお意欲的だ。

「フェイスブック・デーティング」の名称で始めた。通常のフェイスブックアプリの機能の一部で、18歳以上であれば恋人探し用の専用プロフィルを新たに作成することで利用が可能になる。

専用プロフィルは名前と年齢、自身の写真が基本情報として表示され、デートサービスを使うユーザー以外は閲覧できない。ユーザーの興味やいる場所、どんなフェイスブックのグループに属しているかなどのデータに応じて同じサービスを使う「恋人候補」が紹介される仕組みだ。

つながる相手はフェイスブック上の「友人」以外。ただ「シークレットクラッシュ」という機能を使うと、友人に「誰かがあなたに興味を持っている」との匿名通知を送ることができ、さらにその友人が「自分が興味ある人」として送り主を選ぶと互いにデートサービス上でつながることができる。

フェイスブックは同サービスで集めたデータは「ターゲティング広告には使わない」としている。むしろ、フェイスブック離れを進める若いユーザーの取り込みに重きを置いているもよう。写真共有の「インスタグラム」との連携機能も設けており、利便性拡充の側面が強い。

サービスは米国のほか、カナダ、メキシコ、マレーシア、タイ、シンガポールなど20カ国で利用が可能。日本は対象外となっている。欧州では2020年初頭に導入を予定している。

今回のサービスは英コンサルティング会社への大量の個人情報流出が発覚した直後の18年5月にマーク・ザッカーバーグ最高経営責任者(CEO)が導入計画を表明していたもの。フェイスブックは「新サービスは専門家とつくり上げた」として万全のプライバシー対策を強調している。

2019/9/6 7:54
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO49487150W9A900C1000000/