2019年10月06日07時09分
政府が推進する「キャッシュレス決済」をめぐり、旗振り役の安倍晋三首相らの足元で対応が遅れている。首相官邸や国会、自民党本部の食堂は、いずれも「現金のみ」で、電子マネーやクレジットカードなどは使用不可。今後も導入の予定は当面ないという。

 官邸の職員向け食堂は「売り上げが少なく採算が合わない」として、決済端末の購入を見送った。国会議事堂は衆参両院にそれぞれ議員食堂があるが、いずれも「対応するとは聞いていない」(関係者)。自民党本部の食堂も未対応だ。
 政府がキャッシュレス決済の普及を急ぐのは、インバウンド(訪日外国人旅行者)の消費拡大が目的だ。今回の消費税増税に合わせたポイント還元は、景気対策だけでなく、日本社会の「脱現金」を促す狙いもある。
 首相は4日の所信表明演説でも「キャッシュレス化を進める」と宣言した。それにもかかわらず、政界の「お寒い」状況に、自民党からも「政府がやらないのはまずい」(幹部)と困惑する声が漏れる。

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