“妊娠22週” 助けられない命

 新生児科の医師からその事実を聞くまで、私は生まれてきた命はすべて救命の対象になるものと思っていました。
 しかし、お母さんのおなかから生きて出てきて産声を上げても、助けられない命があるというのです。(科学文化部記者 池端玲佳)

■厳然たるライン “妊娠22週”
 通常、赤ちゃんは妊娠40週前後で生まれてきます。
 一方で、早産では何らかの理由で、おなかの中で十分に発育する前に生まれてきます。
 医療技術の進歩で、超早産と言われる妊娠22週で出産した赤ちゃんも、人工呼吸器などをつけて、発達を促すことで、その後退院し、生育できるようになっています。
 国の最新の統計では、おととし1年間に、妊娠23週で生まれた赤ちゃんは298人。22週だと130人いました。

 ところが…。妊娠21週だと0人なのです。
 21週と22週の間には、“命の線引き”とも言える、厳然たるラインがあるのです。

“生きられる見込みがない” 助けられない命
 妊娠22週未満の赤ちゃんは、お母さんのおなかの中での発達が不十分で、生まれてきても生きられる見込みがないとされます。
 医療現場で、超早産の赤ちゃんが育つのに必要な、人工呼吸器をつけるなどの救命措置が基本的に行われず、「流産」として扱われてきました。

「妊娠22週より前の出産には、救命措置をする新生児科の医師は立ち会わない」
「妊娠22週未満で生まれた赤ちゃんは、そのまま見守られて亡くなっていく」

 実際に、取材の現場で医師たちからそうした話を聞きました。
 しかしいま、医療技術の進歩によって、妊娠22週未満で生まれた赤ちゃんも生きられる可能性が指摘されています。

■妊娠21週で生まれた女の子
 現行の基準が妥当なのか。取材を始めると、「妊娠22週より前に生まれて助かった子がいるらしい」といううわさを耳にしました。
 ただ、一切報じられておらず、地道に大きな病院を取材してまわりました。

(以下略、続きはソースでご確認下さい)

NHK NEWS WEB 2019年10月8日 17時57分
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20191008/k10012117591000.html