https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20191019-00000055-jij-soci
東京・池袋で高齢者が運転する乗用車が暴走し、
松永真菜さん(31)と娘の莉子ちゃん(3)が死亡した事故から19日で半年。

真菜さんの夫(33)が取材に応じ、
「悲しみを乗り越えることはできない。2人の思い出を大事にして生きていくしかない」と心境を明かした。
2人の命を無駄にしないため、再発防止も改めて訴えた。

 「ありがとう、かわいい子。おかあさんに、いろいろなものをおしえてくれました」。
散歩中の母娘が描かれた絵本。見るもの全てに興味を持ち、あれは何と尋ねる娘に母親が語り掛けている。
「真菜と莉子に重なり、泣いてしまう」と話した。

 毎晩、真菜さんと交代で莉子ちゃんに絵本を読んで聞かせた。
「お父さんのときは4冊、お母さんのときは1冊」。莉子ちゃんが決めたルールだ。
娘の成長が何よりの楽しみで、定時で仕事を切り上げ帰宅する日々。
当たり前だった家族3人の幸せな生活は事故で一変した。

 「同じ思いをしてほしくない」。2人の遺体を見た瞬間そう思い、記者会見で再発防止を訴えた。
「人々の意識が変われば事故は防げると信じていた」。だが、その後も事故は相次いだ。
「意識だけでは防げない」と痛感した。

 他の交通事故遺族らと意見を交わし、9月に再発防止の具体策を盛り込んだ要望書を国土交通省に提出した。
「制度面、環境面、技術面の三本の矢が同時に進まなければ事故は減らない」と語る。

 同月、警察から遺品が返ってきた。着ていた服は血の痕が残り、破れていた。
2人の痛みや無念を思い涙が出た。「加害者を軽い罪で終わらせたくはない」との気持ちは強い。
「でも、憎しみにとらわれるより、2人への愛と感謝で心を満たしていたい」。少しずつ、前を向き始めた。