>>374
東洋的微笑の中で我々のように暮らし旅した者は、
「日本人の残忍さと非人間性、
それに較べて貧しき中国人の平和な人間性とはいかに違うものか」
と聞くことがある。

通州で無辜の日本人たちを虐殺したまさしくその中国兵たちが、
捕虜になったときは日本軍によって給養され、
「罪を憎んで人を憎まず」のサムライ精神によって、
「もうああいうことをしてはいけない。さあ行け」と説かれていたのである。

日本軍の将官は虐殺の罪を無知な兵隊に帰するのではなく、
南京の軍閥やモスクワ、
無知な耳に叩き込まれた反日宣伝のせいだとしたのである。

世界はこれらの非道行為を知らない。
もし他の国でこういうことが起きれば、そのニュースは世界中に広まって、その恐ろしさに縮み上がるだろう。
そして殺された人々の国は直ちに行動を起こすだろう。
しかし日本人は自らの敵が悪質なプロパガンダ勢力であることにもかかわらず、宣伝を無視するだろう。

中国にいる外国人には驚きとしか思えないのだが、日本はすぐに動かない。
彼らは共産主義者によって虐殺が遂行されたことが分かっていた。
中国政府がロシアのボルシェヴィズムの罠に絡め取られていることも分っていた。
しかしそれでも中国の人々とは戦争をしたくはなかったのである。

日本は南京とモスクワを真剣に観察していた。
まずソビエトの国内がぐらついているのを知った。
共産主義と第三インターナショナルは時がくれば自壊するだろうと。
蒋介石とその統治が中国人に人気がないことも知った。
彼らは蒋介石とその将軍たちが外国に資産を蓄えていることを知っており、
時が来れば、愛想づかしている彼らに代わって新しい指導者についていくだろうと。
その指導者というのは日本のように共産主義に反対し、北支に日本のために貿易を開始してくれる人物である。