■警察利権の温床になってる交通行政と交通取締り

汚い、ズルイ、恣意的な、交通の安全・円滑・事故防止には役に立ちそうもない、警察への信頼を失わせる取り締まりを、警察はなぜするのか。
そう言って怒る人が多い。
取り締まりの背景には、莫大な警察利権がある。反則金だけで年間800〜900億円。これは財務省のものにならず、「交通安全対策特別交付金」として警察の縄張りへ流れる。

「交通安全対策特別交付金(特交金)」は交通事故が多い都道府県に多くの特交金が流れる仕組みになっている。とうぜん都道府県をへて、警察に配分される予算も増加する。
つまり、都道府県警察は、事故防止に効果があがってしまったら(事故が減ったら)特交金が減ってしまうことになるのである。
したがって、事故を減らさずに予算を消化しつづけることが、“お役所警察”にとっての最善の手法になるのである。これが「警察のパラドックス」だ。

「取締りによって警察が潤うシステム」は“規制権”と“取締り権”の両方を警察が握っていることに要約することができる。
ニッポン警察は、さらに“運転免許に関する権限”までも手の内にあるために、その権限は世界に類をみないほど絶大だ。

警察が反則金として集めたカネによって警察が潤い、そして反則金を生み出すバックグラウンドにはいくらでも取締りのできる交通状態、つまり、“非現実的な交通規制”がある。
そして、その“非現実的な交通規制”が警察の権限でどうにでもなるのであれば、いつまでたっても事故防止に有効な施策など実施されるわけがないのだ。

そして、現場の警察官には件数(点数)の「努力目標」、ノルマがある。件数で管理されれば、どうしたって、違反の悪質性などは抜きに、とにかく件数を上げればいい、ラクして数を稼ごうとなってしまう(それが警察官らの心を蝕むとの指摘もある)。
現場の警察官が、税金で働いて取り締まり、生じたカネは天下り先へ流れ込む、という利権システムがしっかり構築されているのだ。

そこから、汚い取り締まりが生まれるのだ。